「こんな思い、要らねーのに」

他愛ない会話の途中、冗談だろうけど、ゴールドがぽつりと呆れたように呟いたその言葉に、ぞわりと、鳥肌が逆立った、さらには胸が鈍重に気だるくなって吐き気も込み上げて連鎖的にずきずきと頭痛も鳴り始めた。

うわ、なんて、馬鹿げたことを言うんだ、こいつ。

ずるずると堕落する内面を必死に押さえて治めて納めつけて、その手を掴んだ。するりと不揃いなお互いの指同士を絡めて強く握った。その細い指先に一本ずつ、唇で触れていく、五回、柔らかなキスを落として、伏せていた瞼をゆるりと上げて、真摯な視線でゴールドを見据えた。
吐息で肌を湿らせて、確かな声色で、お前に宣言してやるよ。
馬鹿なことを呟いたお前に、否定の愛情をあげる。

「無くさせは、しないよ」

∴君の恋慕は僕のものだ。