「迷子じゃないって!」

空から飛び下りてきた人を聴覚が、視覚が、認識、認識した瞬間に、震えた。
思考を切り捨てた身体が勝手に動く、ふわふわと風船みたいに弾む感情、視界に広がる赤が、涙で滲む、その腕が俺を手離した、自由になった俺、なあ。
太陽はもう欲しくないんですか、俺を帰る場所にしてくれないんですか、俺を一番に、して、くれないんですか。

一週間前に握られて離された、その腕を掴む、あの日分からなかった言葉を今なら言える、あんたに聞いて貰わないと、困るんだけど。
痛い行為は吐きそうなくらい、嫌だってのに、怖い先輩は嫌いなのに、なんでこんなに依存してるんだろう。

背後で不信そうなシルバーとクリスに名前を呼ばれるが、声が出せない。空中で重く鳴く、先輩が乗ってきたプテラの声が耳に響いた。
その鳴き声に吊られるように視線を上げればレッド先輩が、それはそれは恍惚とした笑顔で、全てを見透かした赤い眼で、俺を見下ろしていた。

全部あんたが仕組んだ、結末だった、んだ。
でも、もういい、だるい。

めんどくさい。



終わりの日。


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