(あんたの帰る場所に、俺はなりたかったよ。)


「ゴールド、なんか落ち込んでない?」
「…いんや、別に?」
だらりとした顔で笑う、何故か不機嫌なシルバーが俺の頭を叩いて来たので脛を蹴飛ばした、避け損なったシルバーは顔を歪めた。はっ、前に覚えてろつったろ、内心でだけど。
「…覚えてろよ、ゴールド」
「すまん忘れる」
睨み合う俺らの間にクリスが割って入る、頬を膨らませて眉を吊り上げる委員長を挟んで俺らは目線を静かに剃らした。いや、だって説教なげーんだもん。

「あ、グリーンさん」
ウニか、と言いかけて耐えた、危ねえ、グリーン先輩だった。
ウツギ研究所の前で騒いでいた俺らに、歩んで寄ってくるグリーン先輩は心無しか困った顔をしていた。
「久しぶりだな」
「はい、お久しぶりです。グリーンさんはウツギ博士に用が?」
「ああそのつもりなんだ、が…な」

言葉を濁して肩を竦める、なんか嫌な予感するなあ、と思った時は大概当たるもので。
「なあ、すまないがレッドを見てないか」
「見てませんけど…どうして?」
「はぐれた」
「迷子ですか」
「迷子か」
迷子、二人が続けた単語よりも、瞬時に能が捉えて理解した単語、は。

嫌な予感と言うより確信めいた感覚だった、今の俺には間隔が無い、前まで確かに存在していた距離感が、分からないのだ、だから、会ったら、いけない。
この場から逃げ出すために解決策を思考、答えを出す前に視界が暗くなる。


(自由になれなくて、もいい。)


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