帰りたくなくても、そこにしか帰れない、それは泣きたくなるほど辛い事実だと俺は思っている。帰る場所が無い現実も、それと同等に痛い事実だと、知っている。

帰宅を急く足が止まる、二人と別れてから、なんか、良く分かんねーけど、すげえ、ぐるぐるする。
さっきまでの楽しい気分が落ちそうだ、せっかく今日オープンした初日限定無料の遊園地でテンション上がってたのに。
頭を掻いて背中のリュックからスケボーを取り出した、足を伸せて地面をゆっくりと蹴った。
夕日がじわじわと沈む、世界を焼き尽くすようなその色に、足が捕らわれそう、だ。
「…早く帰らねーと」

帰るとこがお前しか、無いんだよ。
そう言った先輩の顔が泣きそうだったから、側に居てやろうと、思ったんだけど、なあ。


帰宅を躊躇う足取り。


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