泣かれるとは思って無くてすげえ焦った、真っ赤になってぼろぼろ涙を溢す顔を見るのが辛くて、頭を掴んでベッドに押し付けた。
理性がぐるぐーるりんと脳内で渦巻く、据え膳食わぬは男の恥とかそんなことを思いつつもえぐえぐと声を震わせて俺の下で泣く後輩を見ると非常に良心が、痛む、というか、その、なあ。

「えーと」
束ねて抵抗を封じていたゴールドの両手首を解放した、俺が握り締めた所だけ赤くなっていて、痛々しかった。
頭を押した手でおそるおそる、湿った黒髪を優しく撫でた。
「い…いた、かった?」
ずずりと鼻を鳴らして、肯定主張。うええですよねえだよなあ痛いよなあちょっと途中から意識プッツンしてたし理性バーンしてろくに慣らしてなかったし無理矢理突っ込まれればそりゃあ泣きますよね!ちょっと誰か俺を殴ってくれると嬉しい、なるべくオブラートにフレンドリーに優しくお願いします!

「…いつまで、突っ込んでるんすか、めちゃくちゃ、痛い、んすけど」
掠れた声で非難を込めて呟く。先程まで痛い痛い嫌だ嫌だ叫んでいたから当たり前だった、そんなゴールドを俺は、あっ、いま心が盛大に抉れた気がする、ははっやべえ泣けそう俺ひっでえ。
痛む身体を億劫そうに、少しだけ捩らせて、俺を睨むように見上げた。目尻に溜まった涙を見ると、しかし、まあ、ムラムラするわけだムラムラ。
そんな心境の変化というか内心の欲が表面上に現れてしまい、ゴールドが焦った口調で顔を歪ませた。

「ちょ、ま、やめろ抜けって!なんで、おまっ」
「いやー?」
「いやーじゃねえよ!うあっ、あっちょ、まじでいた、っあ!」
腰を押し付けて顔を近付ける、涙が伝う頬に唇を滑らせた。そうして痛みに悲鳴を上げ、背を弓なりにしならせたゴーに心の内で謝罪。
いやーごめんなー、ムラムラするんだもん仕方無いよな!鬼畜だ虐めだ変態だ馬鹿野郎くたばれムッツリなどとべらべらと暴言、だが次第に声は小さくなり消えていく。なに、喘ぎ声押さえてんの、可愛いなあ。

まあ、ほら、ゴールドも痛く無くなったし、まあまあ、まあ。

まあ。


「よくあるこったあ、気にすんなってことでどうだろう」
「くたばれムッツリ」

∴Iたる痛みだと掻き込め。