本気になりすぎた自分が酷く滑稽で、哀れだった、笑えもしない。ぼろぼろと泣き崩れてすがり付いたら何か変わっ、た?それでも、なけなしのプライドが俺に笑えと命令してきた、だからだからだからだからだから、だ。
「あんたとは、お遊びでした、つまらなかったけど」
笑ってそのむかつく顔を殴った、尻餅を付いたそいつを見下ろせば何故か、傷付いたような、泣きそうな顔をしていて、俺をさらに惨めにさせた。
じわりと浮かぶ涙を手の甲で拭って加害者であるこいつを糾弾、突き放せ、じゃなきゃ、俺はますます、可哀想な人間だろ。
「あんたなんか好きじゃない大嫌いでした、そのへらへら、ぺらぺらな笑顔だって、ありきたりすぎる愛の言葉も、全部全部全部全部、全部!」

だいきらい。

そう、言葉にする前に殴られた。
右頬に強い衝撃。ぐらりと体制を崩した俺の胸元を掴んで、先輩は殺意を含んだ目で俺を睨んで、怒鳴る。「……あ、っそ!奇遇だな俺もお前のことがさ、だいっきらいでさあ!毎日毎日脳裏に過るわ、一言一言気になるわ、お前のことばっかでちょういやなわけ!なあなあ知ってるかゴールド!こういうのって」
恋って言うんだぜばーか!
がつりと歯同士がぶつかった、そうして痛みに悶えながら、血の味に耐えながら俺は盛大な事実に気付いた訳だ!

あーくそ!歯いってえ!

∴あらあたらしい青春。