ゴールドが好きなんだよ、俺はさあ、多分。
頭をがりがりと掻いて先輩は困ったように笑った、抵抗してもいいからね、と言って俺の肩を掴んで床に押し倒した。どさりと重い音がして、痛みは無く、ただ冷たい床の固さと掴まれた肩に置かれた手が、震えていたことが何処までもリアルだった。
困惑の表情をただ俺は見詰めていた、そうして抵抗しないのと問われたので首を傾げた。
なんでっすか、口を開いて問い返せば言葉を濁したので俺はそれを遮って先輩に笑いかけた。
抵抗する必要がないっすよ、だって俺、先輩にだったら犯されても構わねえし。
……それどういう意味。
そのまんまだと伝えれば顔中に降り注ぐキスの雨、ああ、ちょっと待った待った。制止の声を上げれば何処か怯えたように先輩は俺を見下ろした、ちげーよ否定する訳じゃねーから、ただ。
「先輩から好きって言われてないなあ、って」

そう言えばまた困ったように笑って、ゆっくりとその単語を呟いた、遅いっすよばーか。

∴あまりにもお粗末。