じわりと空気を侵食する熱気が肌にまとわりつくような生温い日だった、今でも鮮明に脳裏と眼球と舌先で覚えている、焼き付くように、そうまるで焼き継ぐように、焦がされじくじくと痛みを残して真新しい、記憶のような、錯覚さえ起こさせる。忘却が出来ないまま、俺はまた今日を踏み続けた。
「さよなら、ゴールド」「俺はもう、お前なしでは生きて逝けなくなるくらい、依存しそうなんだ」「それはお前の全てを奪いそうで俺は凄い嫌だ、だから俺は別れを告げに来たんだよ」

からからの肺から酸素が抜けた言葉で、なにを吐き出したのか、よく、覚えてない。
けれど、も。

「おいていくのか、」
「いらないものだと、おいていくのか。」

そうやって、渇いた内心でそう叫んで、開き直りれないぼろぼろの眼球から涙が零れた。

卑怯だ、最低だ、おおばかだ。
いみわかんねえよ、くそったれ。

独白は毒吐くへ、追想は追走へ、非情は飛翔へ、誰かの思いは、重い感情へ変化して、そうして長い時間を費やして、深く不甲斐なく考えた結論は、今日を文綴った、そうだ。

俺は納得など出来ない、だから、強くなってあの人の上に立とうと思った、断とうと想った、あの人の複雑なふざけた思考の意志を。
今日を踏み続けた、俺を拒絶することで立ち止まった馬鹿なあの人を越えよう、あの人を踏みにじろう、先輩の人生を踏み着けよう。
俺は進む、俺は確かな思想でレッド先輩を、おいていこう、いらないものだと、言うのなら、最初から大事にしなければ良かったのにな、今更、遅いけど。

先輩、だいすきだから、ごめん、諦めて。

(俺無しで、生きて逝けなくなれ。)

∴無糖の毒物。
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