愛してた、けれど同じ時間を共有することが出来なくなった。さよならは唐突に、けれどお前は薄く笑って小さく頷いた。何も語らない唇が震えていたことくらい、ちゃんと気付いていた、けどお前を甘やかすのはもう俺では無くなるから。
「幸せになって、ゴールド」
「俺は充分、幸せでしたよ」
翻して歩き始めた小さな背中に愛しさと、祈りを込めて言葉を贈った、振り返らないまま返された声は微かな否定と、確かな痛みを含んで、ただ、薄れて消えていく。
なあ、ほんとは、さ、違う形で愛せれば良かった、お前の未来を優しいものにしたかった、出来ることならそれが俺で在りたかった、死ぬまで傍に居れたらと、信じたかった。

窪みに溜まった涙が静かに落ちていったけど、もう救ってくれる指先は、ここにはない。

0825 幸せになれ。
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テーマ「人外ファンタジー」
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