つくづく自分はゴールドに甘いなあと思うよ、違うんだ違うんだ、あのしつこさが、悪いんだよ、別にあの笑顔が可愛かったからとか別に、別にそんなんじゃないからな、違うからな!

「レッド先輩、何一人で変顔してるんすか」
「違うからな」
「はあ?」
「何でもない」
大きな欠伸を溢してがじがじと頭を掻いた、前を歩くゴールドが不思議そうに振り向いた、その弾んだ足取りに俺は小さく笑う。まあ、いいか、ゴールド嬉しそうだし。
「眠いんすか」
「うん」
「缶コーヒーでも奢りましょうか」
ゴールドが指差したのは隅に設置され、何処か色褪せた自動販売機。百五十円くらいなら出しますよ、と軽快に笑むゴールドは俺の返事も聞かず走り出した。
「あっ、ちょ」
「いーんでいいん、うわっ!?」
なんというベタな。
自分の足同士を引っ掻けて体制を崩したゴールドの腕を咄嗟に引っ張った。

「馬鹿、ちゃんと歩け」
「……びびった」
いやいやびびったのはこっちだよ、引いた勢いのまま胸に飛び込んできたゴールドを抱き締めて嘆息、なんて危なっかしいんだよ。
「先輩先輩、」
「ん?」
「ごめんね」

俺の胸の内で汐らしく、可愛く謝っても、べ、別に可愛くないし、ゆ、許さないっていうか、怒ってないけど、その、うん、ほら。
かわいいなばか!

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甘やかすな。
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