因みに君は優しすぎる | ナノ





「ゴールドさん!誕生日おめでとうございます!」
たくさんのカラフルな花を麦わら帽子に詰めたイエロー先輩が俺に捧げて差し出す、思わず麦わら帽子ごと受け取ってしまう、にこにこと可憐に微笑むイエロー先輩の髪や服には所々花弁が絡まっていた。
片手で帽子を抱えて空いた手でそれらを払ってやる、きょとんと目を丸くしたイエローさんからふわふわ落下する花弁は、彼女が俺のために頑張ってきたと言う無言の主張である、なんて健気なんすか、惚れますよ先輩!とは流石に冗談でも言わなかった、とりあえずお礼を言って俺もにっこりと笑った。

「あれ、もしかしてパーティー始まっちゃいました?ぼく、遅刻でしょうか…?」
「いやいやまだ飾り付けと盛り付けが少し残ってて…この花を飾ってもいいっすね、折角こんなに綺麗な花なんだし!」
「よかった!なら、ぼくもお手伝いしますね!」
これは帽子ごと貰えばいいんだろうかと考えながらも、イエロー先輩と他愛無い会話をしながらリビングへ向かう廊下を歩く。
「いやあレッドさんのポケギアが圏外で繋がらないので、ちょっとシロガネ山に寄ってきたら時間が凄くかかっちゃって…まあ、珍しい花をゲット出来たので行った甲斐はありましたけどねー」
「へえ、そうなん……、は?」

シロガネ?シロ、ガネ山?シロガネ、山?
「はああああ!?」
「残念ながら見付からなかったのでチュチュに大きな雷を何発か落として貰ったので、気付くといいんですけど。あっ、もちろん山火事とか起きてませんからね、大丈夫です」
「いや、えっ、なんで」
「だってレッドさんって鈍感じゃないですか、それにレッドさん、誕生日とかちゃんと覚えてくれない人ですし」
脳内整理が出来ず、ただただ驚く俺だが花が詰まった麦わら帽子を落とさなかった自分を褒めたい。いや、もう、なにが、なんだか。
イエロー先輩が、にこにことまた綺麗に微笑む。

「だから、素直に会いたいって言えないゴールドさんの変わりに、強攻手段をしてみました」
穏やかな顔して、可愛いプレゼントを持ってきながら、笑うイエロー先輩の瞳に強かな光が見えた。

「最高のプレゼントになるかなあって」

あ、あとその麦わら帽子を良かったらどうぞ、ゴールドさんにもピチュにも似合うと思いますよ。もちろん、お花もお似合いですよ。

どうしよう、この人、男前すぎる。

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▽ 7/21 16:48 慈愛的な贈り物。