痛いのが好きだなんて神経が歪んでるんじゃないか、マゾにも程がある、大概にしろ、嗜虐的で自虐的な嗜好は結構、ただし他人を巻き込まない範囲でお願いしたい、グリーンは冷めた脳内でそう断固的に思考を隔離、ただし、自分と付き合っている少年がそうカミングアウトしてきた事実については想定外だった。
完璧に骨抜き状態で、その愛しい子供のためならばなんでもしてやりたいと尽くしてやりたいと与えてやりたいと、日々常々考えているグリーンは多少の戸惑いは合ったものの、実行までには些かの時間もかからなかった。むしろギブアンドテイクとも最近は思う、ゴールドは快感を得てグリーンは支配欲を得る。そりゃあ痛め付けることに躊躇いはあろうとも、嬉しそうに熟れた表情で笑む顔はむしろグリーンの快楽も煽られた、どうやら自分も案外、ネジ曲がった嗜好を持っていたらしい。
「っ、い」
腕を掴んで無機質な床に押し倒せば良い感じに痛々しい音が聞こえた。そのまま上着を捲り肌を晒せば鬱血して直視するのもおぞましい貧相な身体とご対面、青く変色した痣に指を這わせてぐりぐりと遠慮なく押せばびくびくと痙攣。
「ひ、う、っ」
耳まで赤く染めて小さく喘ぐ、熟した果実のように赤くなった耳を噛み千切りたい衝動に襲われたので勢いよくがぶりついた。「んん、あっ」青年期を未だに迎えない少年の高い声は一見女とも区別しがたい、それでも胸には膨らみは無く、浮き出そうな硬い骨の感触のみ、がりがりと耳を食んで、ごりごりと骨を削るように皮膚越しに弄る。痛いくらいが丁度良い、ゴールドはそう訴える、ならば俺は何処まで、何処までが自分に丁度いいのか、痛め付けても痛め付けても終わりが見えない。ゴールドの制止は無い、ストッパーが存在しないならいつか、俺はお前をころすんじゃないか、がりりっ。
ぽたぽたと強く噛みすぎた耳が裂けて血が垂れた、舌で唇を彩る血液を舐めて、ゴールドを見下ろしたグリーンは、薄く笑った。

グリーンはいつかゴールドを すのだろう。それでも無垢で被虐的な子供は一ミリも憎まないのだと、加虐的で質の悪い大人は知っている。


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恍惚としたお前の笑顔は最高だ。
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