ちゃきりと錆びた鋏を煌めかせてギラつかせて、それは僕の手には不釣り合いなほど大きいサイズでその相反する歪さがさらに彼の恐怖を煽っているのかと思うと非情にも僕は興奮してしまうのでした。
「ねえねえこわいですか、こわいですかゴールドさん」
「こわくて声もだせませんか、息した方がいいですよ死にますよ」
「あは、泣きそう。凄くぞくぞくします、泣いて、叫んで、僕の名前を呼んでくれませんかね」
「たぶん、きっと壊れた貴方だって隅々まで僕は愛せる」
じゃきんって音を響かせて彼の服を切り刻んでいく、たまに刃の切っ先がゴールドさんの白い肌を掠れて赤い線が増えていくことには謝罪を捧げながらも酷く楽しくて仕方がない、あ、ほらそんな震えたらまた傷が、あーあ、大丈夫ですかちょっと血が出ちゃいましたね後でちゃんと消毒しましょうね、傷の痕、残らないといいんだけど。
「い、てえ」
小刻みに揺れる指先で僕の服を縋るように掴んで言葉を溢す、ついでに涙も零れた。あれ、それはやめてほしい、って意思表示だったりするんでしょうか、かちりと羽を閉じて揃えて持ち方を変える、刃の柄を握って切っ先を喉に突き付けた、皮膚を柔らかく押せばゴールドさんは酸素を吸うのをやめる。体内でぐるぐる回って蓄積されたままの空気を奪うかのように深く深く彼にキスすれば苦しそうに身動ぎするが突き付けられた刃が怖いのだろう、僕からの殺人的行為(キス)をただ感受することしか出来ない。混じり合った唾液からは微量の血の味がした。

さて、僕に切り裂かれるのが先か、それとも愛で窒息死が先か。
どちらが先でしょうねえ?

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選択肢はない。
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