アンスリウム




「すきです、」

泣きそうにへにゃりと顔を歪めて、朱色に染まった頬を隠すことなく、涙で瞳を潤ませ、それでも真っ直ぐに俺を見据えて言った。
感情の変動、揺らぐ立ち位置。俺にとってのイエロー、とは、でも覚悟はしていた筈で、けれどこんなにも驚いているのは、きっと理解して無かった、からだ。
「おれ、?」
「レ、ッドさんが すきで、す」

絞り出すように、言われた愛の告白は震えていた。
それを、受け止めて、嫌な汗浮かび始めた手のひらを握る。
俺はイエローが好きだ、けれどそれは恋愛とは、はっきり区別出来ない。けれど皆と同じって訳でも無くて、ああでもイエローはちゃんと俺を、ああもう駄目ここで終了、堂々巡りはやめて、今分かるのは、分かっているのは。

「い、いきなりごめんなさい」

胸に抱えるようにして握っていた帽子を深く被る、ぐずりと鼻声で謝る、返事は要りません、と小さく呟いて身を翻した、え、あ、待って、よ。
分からないんだけど、さ。

「俺は、イエローに泣いて欲しくないよ」

そうだなちょっと考えたけど多分あんまりこの関係は変わらないんだろうし隣を占領出来るんだろまあ全然悪くない、ってかさそんなのより俺のせいでイエローが泣くのは嫌だなあ、だからイエローが哀しむくらいなら小さな俺の羞恥と驚きなんてその辺にぶん投げとくからだからあのさあのさ泣くなよ!

(無垢な笑顔で笑って!)





花言葉...アンスリウム:飾らない美しさ、無垢な心








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テーマ「人外ファンタジー」
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