彼の手元でばさりと揺れた、それを俺は前代未聞なほど死にそうなくらい、真っ青な顔で見上げていた。

「…なんだ、これは。」
ええとですね、なんだこれはと聞かれれば答えてやるのが世の情けとは良く聞きますがちょっとそれは無理な相談かなああははと俺は思いま、あ、ああ、あ、やべ、やめページを捲らないでえええ、どう、どう言い訳すればこの場を凌げるだろうか、いや無理な気がするぞ俺の第六感、五感全てが感じ取っている、諦めろ逃げろと、それに従って俺は逃げたいのだけれども蛇に睨まれた蛙のような、アーボックに睨まれたニョロトノのような、アッこれ上手くねレッド先輩に教えなくちゃ…とかじゃなくてええええうわああうわあめっちゃくちゃ盛大な溜め息吐かれちまったよ、がしっと頭捕まれたあああいでっいででででえええええ指食い込んでいたたたたたたたた「ゴールド」たああああ来ちゃったああああ俺の死亡フラグ!!!!!
「これの正式名称を答えてみろ」
どこぞの問題、エッなにジワジワ責められるの俺、どくどく状態になっちゃうの死んじゃうの??
「答えろ」
「いだだだだあああっえっえ、えっ、エロ本っすいいいだだだだ」
「そうだ、アダルト雑誌だな?」
「すいませんすいませんすいませんすいません指食い込んで千切れる千切れるううううう」
「なんだ?良く聞こえないな」
「やめええええいたたたたたたたたいだだだだだだだだあいいいいい」
「騒がしい」
「聞こえてるだろ!」
痛みにより涙がじわりと浮かぶ、恥の概念とか捨てて泣いたら許してくれたりしねえかなあ!しねえのかなあ!?
「ゴールド」
それはそれは虚悪に残悪に極悪そうに、酷く綺麗に笑いながらグリーン先輩は俺の名前を呼んだ。嫌な予感が背筋に伝わり、内面から沸き上がる余寒に震える。
「はあ、い…、?」
「この雑誌の入手経路も無論気になるがすまなかったな」
「え」
「お前がこんな下らない物にすがるほど、飢えていたことに気が付かなくて」
にやり、と形の良い唇が弧を描いて歪む、まてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまて、まてよ!?

(飢えているのはあんただろうが!) 

馬鹿な事をしたもんだ!

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