ゴーが周りをうろちょろしてると真面目にイラッてするなあ、とか。

「先輩、」ぱたぱたと尻尾が見える気が、する、嬉しそうにピンと立てられた犬耳が俺に見える気がするんだけどなにこれ、(笑)みたいな。
「あーはいはいはいはい後でな」頭を手のひらで押して距離を開ける、ぐきりと首が音を立てたことには気付かないフリ、はーあぁー。
「どう思うよグリーン」傍に居たグリーンに曖昧な表現で何気無く問う、ちらりと俺とゴールドを一瞥。「なつかれたな」「ですよねええ…」がしがしと頭を乱暴に掻いた、別になつかれるのが嫌って訳じゃないけどさあ…。「レッドせんぱーっい!」どすりと腰に衝撃、急な力強い抱擁に耐えきれずぐらりと体制を崩した。
「おーっととい、」
グリーンが一歩下がり避けた、っておい助けろよ。多少苦々しく思いながら足で止まり、体制を持ち直した。
「先輩先輩、せえーんぱいっ!」ぐりぐりと頭を擦り付けてくる、うん痛い痛い実はかなり痛い。「ちょーっとグリーンと話してるから後でなー」肘でその頭を殴る、ごすりと鈍い音がして腹に回された拘束が緩んだ。それを剥がしてゴーの頭を掴んで反対に回す、背中を膝で蹴って向こうに催促、渋々と言った顔で漸く離れた。
「…扱いが酷い」
「あっは、いやあ愛はあるんじゃないかなあ?」
「聞くな」
好いてはいるんだけどねえ、ちょっとゴーと違った感情だけど。
いやあ全く子供ってのは困る、人の気持ちも知らないでべたべたべたべたべた!人が本気になろうとしたらするりと逃げて、全く苛立たしい!まだ犬のがマシじゃないのかな、従順だし可愛いし、愛をいくら注いでも逃げないし、逃げないし。
「お前の身勝手なそれ、をあいつにぶつけようとするなよ。その時点でお前が確実に」「わーかってるよ、まあ、俺だってまだ、良い先輩で居たいし?」
まだ、だけどね。
ちらりとゴーを見やればシルバーにちょっかいをかけていた、シルバーの背中を押して、っといやいやいや待ちなさい、おいこら待てゴー。
「何処行くの?」
素早く近寄り首根っこを掴んで引き寄せた、きょとんとした顔で見上げて来る。「いや先輩が忙しそうだからシルバーとバトルしてえなあ、って」「いやいや全然忙しく無いよ、用はもう終わった」にっこりと笑えば嬉しそうに抱き着いてきた、腹に来た痛みは些細なことだ、気にしない。シルバーを少しだけ険を含んだ目で、笑いながら睨めば明らかに呆れた表情で俺を見てきた。え、なにその表情。
シルバーの対応に首を傾げてゴーの背中に腕を回した、ああ可愛い、可愛い、な。ゴーは可愛いし従順だし犬みたいで好きだ、うん、例えお前とは確実に違う意味を持つ感情だけど、好きだよ。
たまに、食い違う好意を向ける、その無垢で幼稚な行為には、無性に苛立たしくて、俺の我が儘な愛をぶつけたくは、なるけど、ね。
まあまだゴーが望む優しい先輩で居たいので。
「せんぱいっ、すきっすよー!」
「うんうん俺も好きだよ」

うれしい、けどくるしいな

「だからシルバーの代わりに俺とバトルしよっか」
「え」
「シルバーはグリーンとな」
「は?」
「おい、レッド…」
「はいはい決定ー!」

(ふざけた会話の中、内心で強く願う、その好きが早く俺と相似した熟された純愛となりますように!)


ゴールド右側企画に参加させて頂きました。
なんと言うか淀みないレゴーですね。

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