11/11/04 00:28 透明なまなこがゆらりと細められて蜂蜜を不意に滲ませる、ぷっくりと目の端に浮かんだ水滴が君の確かな主張だった。 つらいなあ、 どうせ僕がこの小さな手を伸ばしても届かないんだろう。残念なことに僕と君の年相応の身長差は明白な事実であり、綺麗な涙をこの幼い指では一滴も救えやしないのだ。それが、僕には、身が裂かれるよりもとってもつらいんだよ、アリババくん。 「アリババくん、泣かないでおくれよ」 君に泣かれても僕はその頭撫でてあげるということが出来ない、君の涙だって無論救えないし、君のお耳に優しい言葉を直に伝えることだって出来ない、君を抱き締めてあげることすら、出来やしない。 僕にはなんにも出来ない。 「アリババくん」 「ッ、アラ…ジン」 ぽたり、アリババくんの手を握り締めようとせめてと伸ばした僕の手の甲に色がない無機質な水が落ちてきた。静かにまぶたを下ろして目を閉じてアリババくんの右手を両手でぎゅう、と握った。 早く大きくなりたいな、って思ったんだ。 君の哀しみも全て救えるくらい、大きくなれたらな、良かったんだけど。じわりと閉じたまぶたの裏に浮上してきた熱い塊を目をきつく閉じて奥に押し込んだ、なんだか僕が泣きそうだ。ねえ、ねえアリババくん。 アリババくん、泣かないで。 1104/笑って、 ∴雰囲気だけ。 |