12/02/28 11:16 ここでたくさんの屍が朽ちていったのを貴方の背中が見送りました。わたしは賢くはないのでたくさんの言葉を知りません。けれど分かります。貴方の握られた拳が、惜しんでは悔やんで、悼んでいるということが分かります。寄り添うことは下等なわたしには許されないのです。だから眼窩が潤いを求めて、飢え渇こうともけして閉じずに瞬きせずに、ただそのしゃんとした背中を見据えているのです。 (友と、いうものを、わたしは知らない。) 貴方の痛みを分かち合う術は持たない。なにひとつ、わたしに付属することは許されなかったから。 (所有出来ない、)(悼みさえも。) 「モルジアナ、」 ここは欠けていくばかりです。 (焼けていく妬けていく、焦がされ朽ちて、賢者も愚者も灰に舞うばかり。) 「なんでしょう」 「俺のこの姿を忘れないでくれ」 「それが貴方のお望みで、命令ならば」 「命令でも願望でもない。ただのわがままなんだ」 「承りました、忘れません。」 (わたしは忘れません。) この日の貴方を。 きらきら輝く髪を揺らしながら、頭を深く垂れて後ろで強く握られた両拳。それを見据えて、記憶に刻む。 貴方のたった一度きりのわがままを。わたしが死体になり、朽ちていくその日まで、埋葬するその日まで、赤子のように腹に孕ませて、堕胎で秘めて、抱いて、未来永劫、殺していく。 (……ああ、) (このような方に支えることが出来たら、使って頂けたら、きっと、) (――…きっと。) だからたくさんの屍に高貴な貴方が混ざらないように交じらないように、と。わたしはここに最期まで在り続けるのです。孤高で在ろうとする貴方の悲しい背中を、ただ見送りながら。 0228/遺骨に懺悔。 (リク)リハビリでした。 ちょっとだけ、ただいまですかね。 |