またもや学パロ。
徳川さんは何だかんだ言って黒いお方だと萌えます。私が。
『と、徳川くん…?』
「名前、ワシの事は"家康"と呼んで欲しいと先ほど言ったばかりだぞ」
『いやいやいや、それ以前の問題だと思うの!!』
只今、私、苗字名前は徳川君によって壁に押し付けられています。
アレですよ、壁ドン。
まさにその状態です。
事の発端は、3日前の生徒会の定例会。
生徒会長である徳川君と、副生徒会長である石田君がいつも通り言い争い始めたので…
(いや、言い争うというか、三成君が徳川君に一方的に突っかかっていたんだけれども…)
いつも通り、三成君をなだめ、徳川君を励まそうとしたら、何故か喧嘩の内容が"どちらがより私に愛されているか"にかわっていた。
偶々総務の島左近君が欠席だったからまだ良かったものの、もし彼が居て二人の会話を聞かれていたら…
恥ずかしすぎてもう学校に来れません。
逆ハーとか、そんなもの望んでいないのです。
ヒートアップした二人に
「彼氏にするならどちらが良い!?」
と聞かれて、思わず
『ど、どっちも嫌です…』
と言えば、
「何故嫌なのか」
と詰め寄られました。
だって、三成君は豊臣先輩命でせっかく彼女になっても豊臣先輩に何かあれば彼女の事なんか二の次だろうし、
徳川君は徳川君で大事にしてくれそうだけど、それが行き過ぎて束縛されそうで嫌だ…
というか、正直に言いますと徳川君の笑顔が苦手なのです。
いや、徳川君が頑張り屋さんで、優しい人なのは知っているのですが、たまに見せる仄暗い微笑みがとても苦手です。
以上の事を包み隠さず言いますと、
石田君は
「秀吉様が一番だ。当たり前だろう」
と頷き、
徳川君は
「そうか、名前はワシの事をそんな風に思っていたのか」
と寂しそうに、本当に寂しそうに言いました。
うん、あの時
『どっちも素敵だから選べない//(ハート)』
とでも言っておけばこんな事にはなっていなかったのだろう。
何故あんな事を言ったのか。
一人反省会を脳内で行っていると、徳川君とが私の耳元で
「名前、ワシがなんで怒っているかわかるか?」
と囁いた。
『て、定例会の時の事ですか!?』
「違う。今日、左近と三成には言ったのに、ワシだけまだ言われていない言葉があるだろう?」
言葉、と聞いて思い当たるのはただ一つ。
『あー…トリックオアトリート…?』
「はい」
手に乗せられたのは、私が一番好きなパイン飴。
パイン飴が好物だという事は島君にしか話していないのに、なんという偶然。
『おお…好物です』
「知ってる。だから買ったんだ」
『……』
やっぱり、徳川君は怖いです。
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