男勝り夢主。会話多め。
そして甘い学パロ。
正しいハロウィン講座。
苦手な方は回れ右してくだされ。



『なあ、官兵衛』

「んー?」

『お前は、ハロウィンがどんな祭りか知っているか?』

学校の屋上でカブをナイフで切り抜きながら、そばで寝転がっている黒田官兵衛に話しかけた。

「ジャコランタンを持って仮装しながら菓子を強奪する祭りだろう?」

『違う。私が言っているのは元々のハロウィンだ』

「元々?知らんよ、そんなもん。大体小生はキリスト教信者じゃない」

『全く、これだから日本人は…』

「いや、お前さんも日本人だろう」

『じゃあ質問だ』

「おい、小生の言葉を無視するな」

『お前がさっき言ったジャックランタンは何でできているか』

「そりゃあ、カボチャだろう?」

その答えを聞いて、大袈裟にため息をついた。
そして、出来上がったカブを官兵衛に投げつける。

「うおっ!?」

『正解はソレだ』

「カブ?」

『そうだ。
"ジャックランタン"
名前の意味は"ランタン持ちの男"。
様々な伝承があるが、
"生前に堕落した人生を送ったまま死んだ者の魂が死後の世界への立ち入りを拒否され、
悪魔からもらった石炭を火種にし、萎びて転がっていたカブをくりぬき、
それを入れたランタンを片手に持って彷徨っている"
というのが一番有名だな。
まあ、要するに鬼火だ』

「お前さん、物知りだな」

『お前は物を知らなさ過ぎる』

「そんな事は無いぞ!小生はこれでも生徒会総務だ!」

煩く騒ぎたてる官兵衛を無視しつつ懐にナイフをしまい、彼の太ももの上に頭を乗せて仰向きに寝転がる。
今日も空は綺麗だ。
そして、いつも通り官兵衛の太ももはがっちりと硬くて気持ちいい。
寒くもなく、暑くもない乾いた風を肌で感じていると…

「名前」

と官兵衛に名前を呼ばれた。

『何だ』

「ハロウィンは元はどんなお祭りなんだ?」

勿体ぶって

『気になるのか』

と言ってみた。

「気になる。とても」

間髪入れずに返答された。
面倒だが、元は自分が出した話題だ。
ここで"面倒だから"と説明するのを断れば、女が廃る。

『ハロウィンはな、古代ケルト人が起源とされている祭りだ』

「古代ケルト人?キリスト教徒じゃなくて?」

『そうだ。
ケルト人の1年の終りは10月31日で、この夜は死者の霊が家族を訪ねてくると信じられていたんだ。
だが、死者の霊と共に有害な精霊や魔女も出て来てしまう。
それらから身を守るために仮面を被り、魔除けの焚き火を焚いていたのが元の祭りだ』

「ほお…前まではキリスト教の諸聖人の日の前夜祭と思っていたぞ」

『まあ、それは間違っていない。
諸聖人の日は、7世紀頃までは5月13日に祝われていたんだ。
だが、ケルト人が自然崇拝からケルト系キリスト教を経てカトリックへと改宗する過程で、ケルトの収穫祭に合わせてカトリック教会が諸聖人の日を11月1日に設定したらしい』

「"カトリック教会が"って事はカトリックとプロテスタントでは何か違うのか?」

『"諸聖人の日"はカトリック教会の祝日だぞ。プロテスタント諸国では諸聖人の日は忘れ去られ、ハロウィンだけが残された』

「キリスト教はややこしいな」

『キリスト教だけじゃない。宗教というものは全てややこしいよ』

「おお、哲学的だな」

『どこが』

"変な事を言うな"と太ももをペチンと軽く叩けば、"すまん、すまん"と心のこもっていない謝罪を送られた。

しばらく二人で無言で空を見上げていると、官兵衛が口を開いた。

「なあ、名前」

『何だ?』

「お前さん、いつまで小生の太ももを枕にするつもりだ?」

『そうだな…』

懐からいつも持っている飴を取り出し口に含み、立ち上がる。
そのまま官兵衛の顔近くまで歩を進め、彼の顔を正面から見て

『貴様がこれの意味に気付くまでだな』

と言って、口づけをした。
口に含んでいた飴玉を強制的に官兵衛の口内へ移動させる。

口づけをほどき、官兵衛の顔を見ると、リンゴのように真っ赤に染まっていた。
お前は女子か、とツッコミたくなるのを必死で抑える。

「お前さん…こういうのは普通男がする事だろうに」

手で顔を隠しながら、消え入るような声で官兵衛が呟いた。






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