長編夢主と風魔さんでハロウィン。
甘々バカップル仕様。
完全なる"もしも話"です。



『Trick or treat!』

そう叫びながら、こたにいの部屋の襖を開けた。
「異世界から来たこたにいがハロウィンを知るはずもない」とふんで、悪戯の内容もバッチリ考えて来たのだよ!

【Here you are】

そんな私の予想に反して、スケッチブックと共にチョコレートが差し出された。

『こたにい、なぜお菓子を…』

【御老人から教わった】

『折角悪戯考えて来たのに…』

そうだ…
こたにいが北条おじいちゃんに英語を教えてもらっている事をすっかり忘れていた…。

しょんぼりと項垂れていると、トントンと軽く肩を叩かれた。
顔を上げると、目の前には

【名前、Trick or treat!】

と書かれたスケッチブック。

『…はい、これ』

手に持っていたかぼちゃ型のカゴから、お菓子の袋を引っ張り出す。

『カボチャ…南瓜味のクッキーです』

【ありがとう。手作りか?】

『一応』

【早速いただく】

柄にもなくドキドキしながらこたにいがクッキーを食べ終わるのを待つ。
一応、かぼちゃペーストから自分で作った力作だ。
味見もしたし、お父さんに毒味もさせたし、味は悪くない筈だ。

『ど、どうでしょう?』

【美味い】

『よっしゃ!』

思わずガッツポーズをする。
その直後に、今の自分の格好を思い出した。
羽がたくさん付いた髪飾りに、裾の大きく膨らんだロングドレス。
レース編みの手袋に、これまた羽がたくさん付いた扇子。
もうお分かりだろう。
そう、今の私は近代ヨーロッパの貴族の格好をしているのだ。

因みにこの衣装は演劇部で私が自作した物だ。
これを作った時に男性用の服も作ったので、悪戯ではそれをこたにいに着せるつもりだった。
ナポレオンの服モチーフの、結構かっこいい服。
きっとこたにいに似合っただろうな…

少し恨みがましい目で、かぼちゃクッキーを食べるこたにいを見つめる。
すると、その視線に気づいたこたにいがこちらに近づいて来て、さらに私の手を取り…

ちゅっ

手の甲にキスをした。

『!!?』

薄い布越しに感じるこたにいの唇の温度。
手袋をしている事を惜しいと思ってしまった私は、もう色々とダメかもしれない。





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