リクエスト | ナノ


▼ まあ様リクエスト

『おおう…』

iPhoneのOSをアップデートしながら、「どうせ時間がかかるから…」とお風呂に入っていたのだが…

『何故君がここにいるんだ…』

お風呂上がり、「早速新しいOSを試してみよう」とぼやけた視界のままiPhoneに手を伸ばすと、プニプニとしたiPhoneにはありえない感触がした。
驚いて、慌てて眼鏡をかけて見てみると…
なんと!私が握ったものはミニバサ仕様の風魔小太郎…我が愛しの風魔さんだった。

『風魔さんじゃないですか…え、何これ?夢?もしかして私ったらお風呂で寝ちゃったとか?』

自分の頬をわりと強めにつねる。

『痛い…』

きちんと痛覚は機能している…
じゃあこれは感覚がある夢なのか…
痛覚がある夢とか……そんな夢、聞いた事が無い。

『……。現実逃避はこれぐらいにしよう』

わかっている、これが現実だという事は。
ただちょっと、ちょっと…否、大分信じ難かっただけだ。
だって、画面の向こう側にいるはずの風魔さんが、今、目の前にいる。
正確には、私の手のひらの上にいる。

あ、風魔さんが首を傾げながら足で私の手のひらを蹴ってきた。

『かわいい………』

画面ごしでも伝わる可愛さ満点のミニバサ風魔さんが、今、私の目の前にいる…
デフォルメされた大きな頭にぷにぷにとした小さな身体。
某ケーブルテレビ会社のマスコットキャラクターのような、もちもち、ぷにぷにとした触り心地…

『生きてて良かった…!!』

頬をつつかれ、されるがままになっている小太郎さん、とても可愛いです。
何処からやって来たのか、とか何しにやって来たのか、とか色々と思う所はあるが、そんな事は気にしていられないぐらいに可愛い。

この調子で大きな風魔さんも画面から出て来てくれたら良いのに。
あ、でも原寸大だと大きすぎるから、10分の1スケールとかでお願いしたい。
そんな阿呆な事を考えながら、気を取り直してiPhoneの電源をつける。

勿論、左手でミニバサ風魔さんを握ったままだ。
小さな手で私の手の甲をぺしぺし叩く姿はまさに天使。
可愛いな…本当に…

『…ん?』

iPhoneのロック画面を見て違和感を覚える。

『何故じゃ…』

待ち受けが変わっている。
いつでも風魔さんを拝めるように、と待ち受けにしていたはずの彼がいない。
そこにあるのはCGの小田原城。
風魔さんの背景に描かれていた小田原城だけだった。

『……』

風魔さん、どこ行った。
キョロキョロと周囲を見渡す。

『…うそやん』

目的の人物は思いの外早く見つかった。

『ど、どうも…』

「……」

『あ、やっぱり喋れないんですね…』

風魔さんは、テーブルの上に立っていた。
もっと詳しく言うと、iPhoneを乗せていたテーブルの上に、17〜18cmほどの大きさに縮小された彼が立っていた。

『ここが何処だかわかる?』

「……」

ふるふる、と首が横に振られる。
その後、色々と質問して分かったことは、彼が私の知る戦国BASARAの風魔小太郎その人であるという事だけだった。
お使いの途中にこちらへ来てしまった、との事なので、BASARA3の時代だろう。

『帰り方が見つかるまで、ここに居ていいよ』

むしろ居て欲しい。
こんな小さくされた風魔さんを人目に晒すなんて出来ない!
きっと猫とかに襲われて…負けはしないけど、怪我はするだろう。
そんな危ない事、お母さんは許しませんよ!!

「……」

少し戸惑った後、首がこくり、と縦に振られた。
やった!風魔さんゲットだぜ!

それにしても…
何という事だ。
我が家に意図しの風魔さんが二人もいらっしゃる。
風魔クラスタの私にとっては願ったり叶ったりの状況だが、ここで一つ問題点が。
私はこれでも高校生だ。
学校に行っている間、彼等をどうすれば良いのか。
両親は私のオタク趣味に寛容なので、いざとなったら預ける事も出来ないわけではないが…
面白い物好きの彼等の事だ、預けたらきっと面白がって弄り倒すだろう。
風魔さん達に多大なる精神的負荷をかけてしまう…それは避けたい。

『むむむ…どうしたものか…』

ミニバサ風魔さんは、ストラップとして鞄につければ学校に連れて行けるだろう。
元々BASARAグッズを大量に付けている鞄にストラップが一つ増えたところで、誰も気にしないだろうし。

だが、小さくなっただけの風魔さんにはその手が使えない。
机の上にフィギュアとして飾っておくわけにもいかないし、まずそんな物を飾ったら風紀委員に取り上げられてしまう。

『大人しくお留守番してもらうしか無いか…』

そう呟くと、小さな風魔さんに手を叩かれた。



『あーっ!こらっ!二人とも!喧嘩しちゃダメ!!』

「……」

「……」

『両方ともお留守番してもらおうかな…』

「……!…!!」

「……」

『小さい風魔さん、今、「デフォルメされた自分ざまあみろ」とか思ったでしょ』

「!?」

『お見通しですよー』



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まあ様、リクエストありがとうございました!!
折角、沢山ネタを書いて頂いたのに、このまま一話完結にしてしまうのは勿体無い!と思い、誠に勝手ながらシリーズ物にさせて頂く事にしました!
すみません!
本当にすみません!!

こんな勝手な管理人ですが、サイト共々温かい目で見守っていただけると嬉しいです。

リクエスト、本当にありがとうございました!!

(追記)
「してやんよシリーズ」と称して他のキャラで書くのもありかも知れない…と思っているのですが、まあ様、ネタ転用の許可は頂けますでしょうか?


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