捧げ物 | ナノ


▼ 卒業式

校門の前。
先輩が、門をくぐるまで後2メートル。

「せ、先輩!!」

『ん?何だね、左近くん』

大声で叫んで呼び止めると、
くるり、と先輩がこちら側を向いた。
手には花束と卒業証書。
周りには、彼女の友人と思わしき女生徒達。
卒業式だからか、いつもは無造作に一つに纏められている髪も、今日は下ろされている。
少しだけかかっているウェーブは、自前のものか、はたまたカーラーか。

「せん、ぱい…」

大丈夫、自分のツキを信じろ。
今日の星座占いは一位だったじゃないか。
さっきふった賽子はふたつとも六の目を出したじゃないか。

『先輩だけじゃ、何が言いたいのか理解出来んよ?』

フフッと笑いながらそう言った先輩は、きっと俺の言いたいことが分かっているのだろう。
いつもそうだった。
何をしても、先輩に勝てた試しがない。
三成様の一番近くに居たのも、先輩。
聞けば、先輩と三成様は幼馴染だと言う。
はじめの頃はその事実に、先輩に対して酷く苛立っていたのに、いつの間にかその苛立ちが恋慕に変わっていた。
ああ、勝ち目がないじゃないか。

「先輩…好き、です」

『ん』

「俺と、お付き合いして頂けませんか!!」

ガバリ、と頭を下げると、周囲から冷やかしの声が聞こえて来た。
これでフられたら末代までの恥…
そんな事を思いながら、尚も頭を下げる。

『左近くん、頭を上げてくれ』

頭上から先輩の声。
急いで頭を上げると、

「…!」

唇に、暖かく、柔らかい感触。
理解が追いつかなくて、呆然と突っ立っていると、
『う、奪っちゃった』
と顔を赤くして呟く先輩が目の前に居たので、取り敢えずギュッと抱きしめた。


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月兎様、キリリクありがとうございました!
納品が遅くなってしまってすみません!!
こんな感じでどうでしょうか…?
返品はいつでも承りますので、お気軽にお申し付け下さい!


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