捧げ物 | ナノ


▼ 猫、拾いました

『かわいそうに…』

下校途中…駅から家への道中にある、何の変哲もない電信柱の元に、弱りきった猫が捨てられていた。
それを見て、まるで不意の稲妻のように、今朝見たテレビの星座占いが沙織の脳裏に蘇る。

「今日の1位は**座さん!
新しい出会いがありそうな予感!
ラッキーアイテムは鈴!
以上、今日の星座占いでした〜。
See you tomorrow!」

女性キャスターのハキハキとした声で語られたその内容。
この星座占いは、結構当たる事で有名で、

(新しい出会いって、もしかしてこの猫の事…?)

そんな事を考えながら、私は猫を抱き上げた。

衰弱して抗う力が無いのか、はたまた飼い猫で人に慣れているのか…
どちらか定かではないが、猫は大人しく私の腕にだかれている。

(それにしても…)

この猫、今までに見た事のない毛色をしている。
全身の毛が真っ赤な猫など、見た事も聞いた事もない。
そして、何故かは分からないが、この見知らぬ猫の赤が、自分のよく知る赤に重なって見えた。

『ねえ猫君、君さえよければ我が家で養ってあげよう』

何と無く、見捨てる事が出来なくて、
腕の中でぐったりしている猫に話しかける。
応えなど期待していなかった…が、

『…君、人の言葉が理解できるの?』

猫は、みゃーと鳴くと頭を下げた。
まるで、人間がお辞儀をするかのように。

『飼い主はいるの?』

「みゃー」

『そっか…じゃあ、何でこんな所に?』

「みゃー」

『分からないのか…
飼い主さんが見つけてくれるまで、うちに居て良いからね』

「みゃー」

幸いにも、今日は水曜日。
お父さんは午前診でもう帰宅しているはずなので、この弱った猫を診てくれるだろう。
いつもより早足で、家へ急ぐのだった。



『猫くーん、ご飯ですよー』

「みゃー」

『いやー猫くんは可愛いなー』

【……】

「……風魔、猫相手に妬くのは如何なものかと思うがね」

【……人の事を言えた義理では無いだろう】

「………。
私も猫になれば娘に構ってもらえるのだろうか…」

【……やめろ。想像するだけで鳥肌が立った】




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ゴジ子13様の【龍と兎の談話室】と相互させていただきましたので相互記念で"我が家の夢主とゴジ子13様宅の猫化風魔さんが接触する話"を書かせていただきました!
猫って…書くの難しいですね…。

ゴジ子13様のみお持ち帰り可です。



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