捧げ物 | ナノ


▼ アイスクリーム

『うへえ…暑い…』

最近なぜこうも暑いのか。
異常気象とはまさにこの事。

『アイスは…』

冷凍庫を開ける。確かお楽しみ、として残してあったガリガリ君があるはずだ。

『……』

あれ、可笑しいな。
アイスが無い。ガリガリ君も爽も小豆バーも無い。

『お母さん、アイス食べた?』

まさか、と思いつつお母さんに確かめる。

「爽は食べたけどガリガリ君は……。お父さんが食べていたわ…」

クソッ!
やっぱりお父さんか!
こうなったらお父さんのお金でハーゲンダッツ買ってきてやる!

『……。お父さんのお金でアイス買ってきていい?』

「良いでしょう。私が許します。その代わり小太郎君のも買って来るのよ」

『委細承知!』



こたにいと共に近所のスーパーへ行く。

『さあこたにい、好きなアイスを選びたまえ!奢りだよ!(お父さんの)』

様々なアイスが入っている巨大な冷凍庫の前へこたにいを導く。

【"あいす"とは何だ】

『そうか。そこから説明しなきゃいけないのか』

【すまん】

『いえいえ』

アイスの説明をして、改めて冷凍庫の前に立つ。
さあ、どれにしようか。
ハーゲンダッツが置いてある棚を物色する。

バニラが一番好きだがストロベリーも捨てがたい。
しばし迷った後、ストロベリーをカゴに入れた。
だってストロベリーの方がカロリー低かったんだもん。

『こたにい、決めた?』

ハーゲンダッツの棚から離れ、こたにいに近づく。

【これとこれ、どちらが美味しい?】

差し出されたのはチョコソフトとパピコ(ホワイトサワー味)。

二つ買っても私が躊躇いなくカゴに放り込んだハーゲンダッツよりも安い。

『二つとも買っちゃいましょう。パピコは帰りながら食べましょう』

そう言って、アイスをカゴに放り込んだ。


パピコを食べながら来た道を進む。
パピコを誰かと食べるなんていつぶりだろう。
小学生の時光秀さんと食べた時以来かもしれない。

『うわっ…油断したら手がベトベトに…』

吸い口を噛みすぎたらしい。気づいたらパックの変な所に穴があき、中のアイスが漏れ出て指を汚していた。

『ハンカチなんて女子力高いもの持ってないわ…』

どうしようもないのでベタベタのままにしておこう。
そう思って左手に持ち替えていたパピコを再び右手で持とうとする。

がしっ、とこたにいに右手首を掴まれた。

『え!?なになに!!?』

右手にこたにいの顔が近付いてくる。

ペロリ、パピコでベトベトする指先を舐められた。

『ひゃあっ!』

そのままパピコのついた指を舐められる。
珍しく女子っぽい悲鳴が出たな、と思いながら、自分の手をこたにいから引き抜こうとするが、がっちり掴まれていてビクともしない。

粗方舐め終わったあと、手の甲に口付けされた。

舐められた時点で相当真っ赤だった顔が更に赤くなるのが自分でも分かる。

【これでもうベトベトしない】

『い、いやあ、ベトベトはしないですけど…。ってか何でこんな事したんですか?』

【仕返し】

『何の!?』

ちょっと待ってくれ、仕返しされるような事した!?
今日はまだ何もしていない筈だ。

【俺といるのに変態の事考えてた】

『変態…。もしかして光秀さんの事ですか?』

【名前を呼ぶな】

『…はい』

どうやらここに居ない光秀さんに嫉妬したようだ。
少し拗ねた顔でパピコを咥えるこたにいはとても可愛い。
だが、やられっぱなしは性に合わないのですよ…

『こたにい、ちょっとしゃがんで』

有無を言わさずこたにいをしゃがませる。
前髪を手で払い、おでこにキスをしてやった。

『へっへーん!名前ちゃんをからかうとこうなるんですよ!』

渾身のドヤ顔で言い放つ。
自分の事ちゃん付とか無いわ。
絶対につっこまれるやん。
こたにいの鋭いツッコミを覚悟して身構える。

………。
可笑しいな。こたにいの反応がない。
ずっとしゃがんだままだ。

『こたにい、どうしたの?』

こたにいの顔を見ようとすると、全力で顔を背けられた。
もしやこれは照れているのでは無いだろうか。

『こたにい、もしかして照れてる?』

びくり、とこたにいの肩が揺れた。ビンゴだ。
自分は恥ずかしい事を平気でするくせに、されるのは苦手らしい。
可愛いじゃないか。

『そっかー照れてるんですねー。
照れているところ悪いんですが、早く帰らないとアイスが溶けてしまうんですよ。もう一個のアイス、食べられ無くなっちゃいますよ?』

そう言うと、こたにいは渋々ながら立ち上がって歩きだした。




『あーっ!!私のハーゲンダッツが無いー!!お風呂上りに食べるつもりで置いてたのに!!』

「おや、これは名前のだったのか」

『またお父さん!!?
もうお父さんなんか嫌い!』

「なっ……」

【名前、俺のアイスをやるから拗ねるな】

『こたにい大好きー!!』

【ドヤァ】

「………」


咲月様リクエスト。
【Spare the rod and spoil the child.】夢主と風魔でほのぼの甘でした。
ほのぼの甘…
どちらかというとほのぼのギャグになってしまった気が…
すみません。
返品、リテイク可です。
リクエスト有難う御座いました!

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