「うっぎゃあああああああ!」

「何だ何だァ?!どうした名前!」

「あんまり良くねえ悲鳴だな」

「やああ!シャンクスベック!!」

「どうした誰かに何かされたか!」

「ち、ちがっ…!動いたあああ!」

「動く?……ああ、こいつか。ゴ」「口に出さないでおぞましい!」

「くくっ、見掛けによらず可愛いとこあるじゃねェか」

「笑うなベン!こいつの一大事なんだ。…………つってもなあ、だっはっはっは!可愛いなァお前は!」

「笑ってもなんでもいいから早くあいつを抹殺してえええ!1匹いると何匹もいるって言うから早く!!!!」

「だっはっはっはっは!さてベン、どっちが行く?」

「…こいつにいいところ見せるチャンスだ、行ってこいお頭」

「まあ、面倒臭ェがちゃっちゃと行ってくるか。外で待ってろ、すぐに片付けてやるからな」

「(コクコク)」

「行くぞ」



ー1分後ー



「おーい、片付けたぞー」

「シャンクス…早くない?」

「おれが本気を出せば、こんなもん朝飯前だ」

「お頭、さては…」

「言うな言うな」

「(やっぱり覇気使ったか…一瞬空気が震えたと思ったのはそれか)」

「で、死骸も捨ててくれた?」

「ああ、もちろん。今頃海の藻屑だろうな」

「良かったー…」

「なァ、報酬に抱き締めさせてくれよ、なァ?」

「………あー、ごめん、ちょっとそれは」

「?どうした、いつもなら喜んで行くだろ」

「行きたいのも、ぎゅーって強く抱き締めてシャンクスを感じたいのは山々なんだけど、……あいつを触ったんだと思うと、ちょっと、」

「………………そんな」

「…お頭落ち込んじまったぜ」

「あ、そうだ。ベックちょっと首借りるね」

「あ?、………」

「おっ、おま!お前らァ!おれの目の前でなんちゅーことを!」

「こうしてベックにぎゅーってしたから、シャンクスがベックに抱き付けば、間接的になるでしょ?」

「間接………」

「あー……悪いな、お頭」

「謝るなベン!逆にむなしくなるじゃねェか!」

「ごめんね、シャンクス。今度はもっともっと、ぎゅーってしてあげるから」

「当たり前だ!覚悟してろよ!」

「(……で、恋人同士のこいつらに挟まれたおれは)」

「にしても、何でベンにしたんだ?」

「ん?近くにいたし、シャンクスの次に好きだから」

「…………まあ、たまには許せよ、お頭」



役得、役得。

「いつもあんたたち二人の仲裁に入るおれにも、たまには褒美があったって良いだろ?」
「……今回だけだからな」
「くくっ、分かってるさ」



好きな女には、好きなやつの隣で笑っていてほしいからな。なァに、身を引いた野郎は全員そう言うもんだ。相場は決まってんのさ


100816
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