戦争が終わった。
 長かったようで、初めて斬った天人の
 感触は昨日のことみたいに覚えている
 。
 高杉もヅラも宛がわれた自室から出て
 くる気配はない。俺もまたそうだった
 。
 抱えていた刀をそっと畳の上に置いた
 。部屋の中は整えられた布団と俺の戦
 装束と刀だけ。最後に一度咳をして冷
 たい和室をあとにした。
 庭に出ても誰もいなかった。がらんど
 うのただ広い土の上、全て失った俺が
 薄い着物姿で立っている。
 振り返ることはしなかった。
 その日夜叉は姿を消した。


 然様なら



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