団子屋の店先に見慣れた銀髪を発見し
て声をかける。
「おっ、銀時ー!」
「おいハゲ!動物園に連絡しろ、ゴリ
ラが逃げてる」
「ゴリラじゃないよ!確かに似てるか
もしれないけど決してゴリラじゃない
から!」
「近藤さん、俺らも団子食べていきま
しょうゴリ」
「総悟!?口癖みたいになってる!や
めて!」
「ウホウホうっせーなちょっと黙れや
ゴリラ」
「うん、もういい。もうゴリラでいい
から…」
「旦那隣失礼しますぜィ」
いつものやりとりをして野郎の隣に座
る。
「チャイナさんと新八くんはいないの
か?」
「おーよ。あんなん連れてきたら火の
車どころか灰になるよ、家計が。」
「いいことじゃないか、よく食べるの
は」
「仕事ないんですかィ」
「あー、まああるっちゃあるけど危ね
ーのは俺一人で行くからそんなにはで
きねーんだよ」
「何だかんだ言ってまだガキですもん
ねィ」
「銀時のくせに父親みたいだな」
「うっせーよゴリラ。ゴリ箱にぶち込
むぞ」
他愛ない話で盛り上がる。銀時との話
は大概楽しい。俺もこういう男になれ
たらなあ。
「んだよ急に黙んなよ、怒ったかー?
」
「いや、銀時はいいなーって」
「はあ?」
「話は面白いし、強いし、ゴリラじゃ
ないし」
「近藤さん最後は当たり前でさァ」
「ばーか。俺ァ強くねーよ」
銀時が明後日の方へ向けた目を僅かに
細める。見えているのは護れなかった
仲間だろうか。
「旦那は」
銀時を見つめながら総悟が口を開いた
。
「憎くねーんですかィ」
「何がかな、総一郎くん」
「俺たち、とか」
確かに総悟の質問は俺も気になってい
たことだ。しかし直球とは。さすが総
悟。
「憎いよ」
銀時の眉間に少しだけ影が見えてどき
りとした。人を殺せそうな目というの
はこういう目をいうのだと思う。
「けど、」
それも次の瞬間には跡形もなくなりい
つもの眠そうな顔で少しだけ笑って言
った。
「泣いても笑って憎んでも愛して生き
ていくって刀を捨てた時決めたんだよ
」
本当に、どこまでも強い奴だと思う。
そしてどこまでも優しい。
「じゃーな。おいハゲ!勘定はゴリラ
につけとけ」
「ええええええええええ!?」