空を仰ぐ。今日は終戦記念日。突き抜
 けるような青に腹が立った。
 団子を噛み千切ってぐじゃぐじゃにす
 る。苛立つ気持ちもぐじゃぐじゃにし
 ていく。
 いつまでもきっと消えないこの燻りに
 いつまでもきっと悩むのだろう。
 でも丁度良いのだ、それで。
 空に浮かぶ船を見て何故か高杉を思い
 出した。あいつは今どんな気持ちで生
 きているのか。何を思うのか。
 高杉の顔が、若返る。攘夷戦争、奴の
 綺麗な目は日々浴びる血に少しずつ濁
 っていった。奴だけじゃなくて、坂本
 もヅラも、そして俺もきっと。
 意味もなく汚れた俺達はもう戻れない
 。戻る場所もない。もうずっとこのま
 ま、濁ったまま生きていく。
 もやもやとした感情に飲み込んだ団子
 で蓋をする。視線を地上に戻す。青い
 空を映したこれまた青い水面が馬鹿な
 俺をわらっていた。



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