今更だけど思い知った。始まりがあれ
 ば終わりがあると。

 すれ違う俺たちの間に、引き裂くよう
 に秋風が吹いた。



         すべて風の中に



 定々が殺されたと、沖田くんから聞か
 されて、現場へも連れていってくれた
 。
 仇だと、分かっているからだとは思う
 けど、敢えてありがとうなんて言わな
 い。

 その、じめじめした牢に着くと、土方
 くんと近藤くんとジミーくん、あと数
 人の隊士たちがいた。

 「た、か…杉……」

 見てみて、驚いた。定々を死なせたそ
 の傷、明らかに高杉の斬り方だった。

 「オイ、今なんつった」
 「あ、いや」
 「俺には高杉、と聞こえましたがねィ
 」
 「下手人、高杉なのか」
 「……ああ」

 思わず呟いてしまったことで、下手人
 が高杉と割れてしまった。良かったか
 。良かったはずだ。もう、関係なんて
 ない。

 「しかし、よく分かりましたね」
 「ホントに仲間だったんだな」
 「終わったさ。もう関係ない。」

 しん、と、急に。やけに静まり返った
 。最後に、まるで高杉の憎しみを表す
 ような、大きな大きなその傷を睨み付
 けて、踵を返す。

 こんな風になってしまったのは、一体
 誰のせいだ。夢に見たようなハッピー
 エンドは、その片鱗すら見せてはくれ
 ない。

 一段と広くなったようなあいつとの距
 離には、また、冷たい風が、ひゅるり
 。



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