今日、世界が終る気がする


 何を馬鹿なと、笑えたら良かった。
 まわりは天人だらけだし、俺の刀もあ
 いつの刀ももう刃こぼれし過ぎてそろ
 そろ危ない。
 さっきのあいつの言葉も、冗談に出来
 ないかもしれない。

 「そうかもしれねえなァ」
 「おい、高杉」

 薄く同意を示せば、ヅラにたしなめら
 れた。
 まあ確かに、縁起でもねえか。

 「糖分が足りねェ」

 構えた刀をじっと見つめたまま、銀時
 が緊張感の欠片も感じられない声で緊
 張感の欠片も感じられない台詞を吐い
 た。
 こいつは相変わらずで、何故か笑えた
 。でもふと、明日には全てなくなる気
 がした。馬鹿な、銀時の変なのがうつ
 った。

 「合図で出るぞ、いいな」
 「ああ」

 刀を固く握りなおしたヅラの手が、や
 けに不思議な動きをしているように見
 える。どうしたんだ、全く。

 「オイ、高杉!」

 はっと我に帰った。そんなはずはない
 。こいつらは馬鹿だから、どうせしつ
 こく生きているさ。

 「行けえっ!」

 冗談にしなくてはならない。踏みしめ
 た地面を、強く蹴った。



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「見えない臓器の名前は」
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