昼頃、墓参りに出ていた近藤さんが屯
所へ帰ってきた。なぜか今にも死にそ
うな銀髪の男を連れて。
「いいじゃないか、今更何人増えたっ
て変わりゃしないさ」
「俺が言ってるのはそういうことじゃ
ねーんだよ…」
あっけらかんとした態度の近藤さん。
人が良いのはこの人の長所であり、ま
た難点でもあった。
「こんなどこの誰とも知れねェ奴を気
軽に屯所に入れるなんざ危ねえって言
ってんだ」
「何言ってんだトシ、お前だって最初
はどこの誰とも知れねェ奴だったじゃ
ないか」
「…!」
それを言われてしまえばもう何も返せ
ない。確かに俺も最初は拾われてきた
こいつと何ら変わりなかったのだから
。
「決まりだな。目が覚めたら話をしよ
う。こいつさえ良ければ俺はこいつを
真選組に迎え入れる」
「近藤さん!」
「いいな?」
「…」
「じゃあトシ、あとは任せたぞ
」
「…ああ」
銀髪のそいつを迎え入れると決めて近
藤さんはさっさと行ってしまった。
男が目覚める気配は、まだない。