温もり。




寒い寒いと言っていたら、トムが事務所に着いてから脱いで椅子の背もたれに掛けていたロングコートを貸してくれた。

「あ、ありがとうございますっ。」
遠慮がちに袖を通すと、ほんのり温かくて胸がドキドキと煩くなる。

「あー、なんか俺も寒くなってきたわ。」
暫くその温もりを堪能していたら書類を書き終えたトムが机を離れ、革張りのソファに座る静雄に近付いてくる。
隣に腰掛け抱き締められて、体温が上昇していくのを感じ恥ずかしくなった。

「静雄は優しいから、温めてくれるよな?」
熱くなった耳朶に寄せられたトムの唇が、吐息混じりに低く囁いてぴくりと体が震える。

首筋に廻された腕に手を添え、顔を上げ目の前にあるトムの唇にそっと触れるだけのキスをした後に加減しながら抱き着いてみせた。

「こっ、これで勘弁してください…。」
真っ赤に染まった顔を隠すように俯く静雄があまりにも可愛くて、トムは苦笑しながら優しく頭を撫でてやる。

家に帰ったら、思う存分愛してやろう。
そう心に堅く誓った。







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