愛の力?




休日の池袋は、人で溢れ返る。
どこを見ても人人人。人だらけだ。

次の回収先に向かう途中、喉が渇いたからと自販機で甘めの缶コーヒーを買って軽く休憩する事にした。


ぼんやりと人の流れを眺めていると、嫌な気配を感じて思わず缶を握り潰しかける。

奴がいる。

一気にコーヒーを飲み干して、空になった缶を嫌な気配へ向けて投げつけると、見事に命中したらしい。


「う。」
カーンと乾いた音と共に鋭い痛み。
頭を押さえ後ろを振り返ると、遠くの方にそれらしき人影を見つけて呆気に取られる。
その直後にメールの受信を知らせる着信音。

[From:シズちゃん/本文:今すぐ消えろこのノミ虫野郎。]

踵を返してメールを送り付けてきた人物の元へ歩を進める。


「さっさと消えろって言っただろうが、ノミ虫。」
眉間の深い皺に、蟀谷に浮かぶ青筋。
顔は笑ってはいるが、拳が飛んでくるのもそう時間はかからないだろう。
余計な体力を使う前に退散するのが得策だと考えるが、それだけでは面白くない。

「シズちゃん、良く俺のこと見つけられたね。」
「あ?あぁ、テメェの匂いがしたからな。」
「ふーん、俺って愛されてるなぁ。」
「…っ!し、死ねえええええ!」

今日も池袋は平和です。






気に入って頂けましたら、ぽちっとお願いします(*・ω・)人

TOP