しあわせのかたち





男二人が寝るには窮屈なベッドの上で、静雄は無意識の内に隣で眠るトムの腕に擦り寄る。
ぐっと押し付けられた胸は膨らみもなく硬いものだが、トムは思わず口元を緩ませ静雄の方を向き背中に腕を廻して抱き締めた。

「んー…トムしゃん…。」
その声に静雄を起こしてしまったかと思い顔を覗き込んでみたが、ただの寝言だったらしい。
実に幸せそうな表情で眠る恋人は、今どんな夢を見ているのだろうか。

俺の夢、見てんのかねぇ。

目の前に散らばる金糸を指で慈しむように梳きながら、トムは顔を赤くして苦笑した。

お互いパンツ以外は何も身に着けてないからか、触れ合う肌の温もりを直に感じられて心地好い。
先程目を覚ましたばかりだというのに、あまりの心地好さからトムの瞼はしっかりと閉じられてしまった。

意識が落ちる寸前にトムはふと考える。

自分と同じように、静雄も幸せを感じてくれてるだろうか。

彼から与えられる幸せを、自分も与えられているだろうか。

「静雄、愛してるぞ…。」
夢の中の彼に届くように願いを込めて、トムはどうにかそれだけ呟いて眠りにつく。

「…俺も、トムさんを愛してますよ。」
すぐに聞こえてきた小さな寝息を耳にして薄く目を開けた静雄は小さな声で囁いた後、自分の顔が熱くなるのを感じてトムの胸元に顔を埋めた。









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