有意義なオフの過ごし方





朝目を覚ますと、隣で幽が寝ていた。
最初は夢だと思って、まだ寝ぼけている目を擦る。
次に、古典的だが頬を抓る。痛い。
最終的にはその体に触れてみた。うん、温かい。
紛れも無い、本物の幽だ。

「ん、兄さん…?」
触った事で起こしてしまったらしい、薄く目を開けた幽がこちらを見ている。
思わず触れていた手を離し、そのまま頭を軽く掻いた。

「よぉ。お前がうちに来るなんて珍しいな、仕事は?」
もそもそと起き上がりベッドに座った幽を見て問う。

「今日と明日、オフなんだ。」
だから兄さんに会いに来た。
そう言いながら軽く目を伏せ、擦り寄るようにして静雄の肩に寄り掛かり、まだ眠たいのか小さく欠伸をする幽の頭を些か乱暴に撫でてやると、幽は嬉しそうに笑った。
つられて静雄も口元を緩ませ、久し振りに触れる愛しい弟の体温に満ち足りた気分になった。

「眠いならまだ寝てて良いぞ?」
ん、と小さく頷いた幽は緩やかな動作で布団の中に潜り込み、静雄の腰に手を廻したまま寝息を立て始める。

「……幽。」
サラリと零れる絹糸のような黒髪に指を差し入れ梳きながら、少しだけ上体を屈めて頬に口づけを落とす。

好き、という想いを唇に込めて。










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