二人の関係門田は思う。 静雄にとって自分はどんな存在なのかと。 (俺にとっては…。) その先の言葉は、がしがしと掻いた頭とともに掻き消した。 「どうしたんすか?」 不意に掛けられた声に後ろを振り向くと、遊馬崎と狩沢がきょとんとした表情でこちらを見つめていた。 「いや、何でもねーよ…。」 まさか静雄の事を考えていたとは言えずに、気まずさを覚えて前を向く。 その視線の先に、先ほど頭の中を占めていた人物の姿が見えて息を飲む。 「…悪ぃ、ちょっと出てくるわ。」 ワゴン車を飛び出した自分に内心で驚いたが、体は止まってくれなかった。 人混みを掻き分け、自分より少し上に見える肩を叩く。 「よっ、静雄。」 振り向いた静雄は、びっくりしたような顔をした後に少しだけ頬を赤くしていた。 「か、門田…何してんだよ。」 「お前を見つけたから追い掛けてきた。」 更に顔を赤くして目を逸らす静雄に胸が高鳴るのを感じながら、ここでは人目につきすぎると思い道の端に引っ張った。 「静雄は仕事中か?」 「あぁ、今は休憩時間だ。」 二人して壁に背を預け、久々…と言っても五日振りくらいの面と向かっての会話をする。 お互い仕事をしているせいで、あまり一緒にいられないのはどこか寂しく思えた。 「そうか。…次の休み、ちゃんと空けとけよ。」 「おう、わかってる。」 まあ、時間の融通が利く門田は静雄の休日に合わせて仕事を入れないようにしているのだが。 それでも物足りないと思うのは仕方の無い事だろう。 「それなら良いんだ。大事な休憩時間に悪かったな。」 次の休みには時間を気にせず会えるということを確認できて、門田は安心して表情を緩ませる。 「気にすんなよ。俺達、こ、恋人同士、だろ…?」 恥ずかしそうにしながらも顔を真っ赤にして、静雄がそう言った。 あの静雄の口から出た恋人という単語に、門田は舞い上がらずにはいられなくてその熱い頬に軽く口づける。 「そうだな。じゃ、仕事頑張ってこいよ。」 ひらひらと軽く手を振り先に歩き出す。 次のデートが楽しみだ。 終 気に入って頂けましたら、ぽちっとお願いします(*・ω・)人 |