▼ Shake it.
真島さんと迎える初めてのクリスマスは私の自宅で。
本当はどこかのレストランでオシャレに……という話もあったけど、最近ゆっくり二人で過ごす時間を持てなかったから、自宅で過ごしたいと伝えると真島さんは快諾してくれた。
だから、手間暇をかけて料理をたくさん作った。美味しいワインも用意して、部屋もクリスマスらしい装飾をしたり、二人で過ごすのにピッタリな音楽を流したりして。
用意したものはすべて堪能した。
パエリアもラザニアもハーブチキンもクリスマスケーキもワインも、既に私たちのおなかの中。
今あるのは一定の間隔で点滅しているクリスマスの電飾と、甘く流れるR&B、そして目の前にいるサンタクロース姿の真島さん。
ちょうどサンタさんからプレゼントされたネックレスを付けてもらったところだ。胸元でストロベリークォーツがその名のとおり、苺のような愛らしい淡い赤を輝かせている。
「やっぱりなまえによう似合うとる! ネックレスも喜んどるで。……ん、どないしたん?」
ソファに座っている真島さんを見つめる。
男の人が興奮する時はこんな感じなのか。サンタクロースの衣装を身に纏った真島さんの姿に欲情している。
ワインを飲み過ぎたせい?
気持ちを高ぶらせるような音楽のせい?
それとも身に着けたパワーストーンの効果のせい?
「可愛いです、真島さん」
「オッサンに使う言葉やないで」
「じゃあ、カッコいいです。サンタ帽も似合ってるし」
真島さんの太腿の上に座って、私の行為に照れたのか赤く色付いた耳に音を立ててキスをする。
「酔うたんか? 随分と積極的やな」
私は返事をせず、耳の形なぞるように舐め上げて耳朶を甘噛みした。それに反応するように背中に回された真島さんの指がピクリと動く。
いつも真島さんを見上げるたびに色っぽいと思っていた首に舌を這わせ、浮き出た筋を唇で挟んだり強く吸ったりすると、薄っすら漏れた吐息が聞こえた。
「黒いお髭のサンタさん」
「サンタは白髭やないと、ダメか?」
「私のサンタさんは黒でいい」
整えられた髭を人差し指でなぞると、艶っぽい目つきで真島さんが私を見つめていた。
「なまえ」
私は髭をなぞっていた人差し指を真島さんの唇に押し当て、何もしゃべらないように、とジェスチャーをして、好きなところのひとつである上がった両端の口角をペロリと舐めて、そこだけにキスを繰り返す。
触れている真島さんの胸から、高まる期待と興奮に激しく脈打つ鼓動を感じる。
「なぁ……、ちゃんと口にキスしぃや」
「ダメ」
「俺へのプレゼントはなまえやろ?」
「私はサンタさんじゃないですよ」
「ほんなら、これでサンタや」
真島さんは被っていた帽子を私に被せた。
それに応えるように、私も真島さんの胸元を隠しているジャケットの黒いベルトを外して、艶やかな肌を露出させた。
「じゃあ……、何が欲しいですか? サンタさん?」
「なまえが欲しいです、サンタさん」
そんなやり取りにお互い照れ笑いをした後、すぐに激しく長いキスをして、そのまま真島さんに抱きかかえられベッドになだれ込む。
「なまえ、愛しとるで」
「私も愛してる」
視線も声も舌も腕も足も絡ませて、ゆっくり激しく揺らし揺らされ……。
白い身体を紅く染めて、二人のサンタクロースは快楽の波に何度も溺れた。