▼ Good sweet morning
「……ん、んん?」
「おはようさん」
一つのベッドに二人。
私の抱きぐるみはなぜか真島吾朗に代わっていて、彼はしてやったりという顔で私におはようのキスをした。
「……あの、なぜここに?」
それがなぁと真島さんは口を尖がらせていじけた表情をする。
昨日の夜、私に会いたくなって家に来てみたら既に私は夢の中で、仕方なく一緒に眠ることにした、と。
「寝相が悪いのか、それとも疲れとったのか知らんけど、大事な大事な抱きぐるみちゃん、床に落ちとったで」
ほれ、と指差されたほうを見ると、ソファの上に寝る時に抱いているぬいぐるみが置かれていて、パイソン柄のジャケットがタオルケットのように掛けられていた。
「なまえ、何わろてるん?」
「真島さんらしいなと思って。……優しいですね」
「せやろ? おまえの大事なぬいぐるみやからな」
いつものように調子よく話す真島さんの首に頭を埋めて、身体をギュッと抱きしめる。
「すごくよく眠れました」
「それは何よりやな。これから眠る時は、ぬいぐるみやのうて俺を抱きしめたらええ。……俺も、なまえを抱きしめる」
一段と優しい声で囁くようにそう言った真島さんが、お返しとばかりに私の身体を強く抱きしめてきたので、Yesの返事代わりに目の前にある首筋にキスをした。
「ねぇ、真島さん」
「ん?」
言い忘れていた言葉。
――おはようございます――
伝えよう。
愛しい人に特別のおはようを。