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性別が違ったら



『とむりん!とむりん!じゃーん』

そう言うと暇そうに本を読むリドルに七色に光る小瓶を見せびらかした。

「なにそれ」

ほんっとに興味無さそうにこっちに視線すら寄越さないリドルに腹が立ったから脇腹に狙いをつけ思いっきりどつけばリドルは脇腹を抱えて机に頭をのせた。

『はっはーん!ざまあみろ!
私の話をシカトするからこうなるのよ!』

「……おまえ」

サラサラとした黒髪の隙間からこちらを殺してやろうかとぐらいの目で私を見ている。普通のやつならビクつく所だけどリドルとは長い深い仲だからそんなものは私にはきかん!

『これはねー!なんとゾンコの店で先着で売ってもらえる貴重な貴重な物なんだよ!』

「…そんな訳の分からない物の説明に付き合ってるほど暇じゃないんだ。僕は寮に戻る」

『だめだよ!!ただ自慢するために見せに来たんじゃ無いんだよ!』

リドルは机に乗っていた本を2、3冊手に取り綺麗に椅子を戻すと私のことを無視しながら図書館から出ていこうとする。リドルの腕を掴みその場に留まらせようとしてもリドルは気にせずどんどん歩みを進める。私はリドルの腕を掴んだままズルズルと引きづられる。私は腕を離し先程の小瓶を取り出すとそれを口にすべて含みリドルの前に立ち、リドルの顔を掴み、柔らかな唇に自分のカサカサした唇を押し当て舌でリドルの口を開かせると先程口に含んだ液体の半分をリドルの中に押し込めた。リドルが吐き出す可能性もあったから私はリドルの鼻をむぎゅっと掴むと思惑通りリドルはそれをゴクリと飲み込んだ。ゆっくりと唇を離すとお腹に鈍痛が走った。

『ぁあ…っいたたたたたたたたたたた!』

「名前のっ…分際でっ、な、にしてくれてん…の」

ローブの裾で唾液まみれになった唇をリドル拭きながら近づいてきた。リドルは私の胸ぐらを掴み私は今リドルの片腕だけで宙に浮いた。「何をした。僕には言えないの?」と相当リドルはお怒りだ。

『いやー実はこれ入替薬!飲ませ方が飲ませ方だったからリドル以外に使うの嫌だったんだよね。大丈夫大丈夫!効果は1日だしすぐ戻るって!めんごめんご!』

大丈夫大丈夫!の辺りから気づけば私はトム・リドルで彼は苗字名前になっていた。私はゆっくりと私を下ろすと私に話しかけた。

『どう?どう?女の子は体は!』

「やめて。僕の体ではしゃがないで。」

気味が悪いとリドルは私の着崩した制服のネクタイをきゅっと締め直している。

『な、なんか私、幾分かすっげぇ可愛く見えるんだけど。』

「それは僕が入ってるからね。てか名前ってこんなに豚みたいに肉あったんだ。」

とケロリとそう言うトム・リドルに軽く殺意を覚えた。そうだ。こいつはそういう奴だ。

「今日が休日で実に良かった。名前がボロを出さない内に効果が消えるまで寮にもど、る…」

「……チッ!あの馬鹿。どこに行きやがった。」

****

私はリドルの馬鹿みたいな提案を聞く前にダッシュで大広間にたどり着いた。私は男の子(トム・リドル)になったらやってみたかったのだがあるのだ!!そう!それは!ナンパ!私の好みの女に声をかけまくる!ただやっぱりリドルはリドルだ。ただ立ってるだけで色んなやつ(女子多め)が挨拶をしていく。

『やぁ、君。今は暇かい?』

そこら辺にいた美少女系の女子に話しかけるともうその子の目はトロントロンだ。

『良かったら一緒に食事でもどうだい?あ、そこの君もどうだい?そこの子も!』

****

「あの馬鹿どこにいったんだ。」

ブツブツと呟きながら名前を探すが中々見つからなかった。それにしても足が短いじゃないか。女がこんなに歩くのが遅い理由がこれか。それにさっきから訳の分からん男がやたらと話しかけてくる。

「よーぉ!名前!またゾンコの店に新作入ったらしいぜ!」

「うせろ。」

話しかけて来たやつにそう言うとピシャリと動かなくなった。そいつを放置し、また名前探しに戻る。名前の制服のポケットに手を入れるとなにかがごちゃごちゃと色んなものが手にあたる。適当に1つ手に取り、ポケットから出すとなにか訳の分からない物体が出てきた。僕はそれを中庭に投げ捨てた。もう片方のポケットにも手を伸ばしそれを手に取るとそれは名前が持っていた小瓶だった。じっくりと眺めると綺麗な液体がタプタプと蠢いた。裏のラベルをよく見るとそこにはあることが書いてある。僕はふっと笑うとその小瓶をしまった。今度は胸に違和感を感じ胸ポケット手を伸ばし硬いなにかを取り出した。それは古びたボロボロのパスケースだ。中を開くと1枚の写真に僕と名前が写ってた。片側には僕単体の写真が何枚も何枚出てくる出てくる。それを見なかったことにしてパスケースを元あった場所へと戻す。

「あ、苗字ー!」

僕ほどじゃないけどそれなりにまぁ、顔は整ってる。レイブンクロー寮生ぽいが。

『なに?』

「この前の返事聞かせてくれない?」

『…返事?』

「またそうやってはぐらかすの?この前のも今度あったら返事するって言ってたよな?やっぱりあの優等生が好きなんだろっ!」

肩を上下に動かし僕の目を逃がさないとばかりに見つめてくる。大体の状況から名前がどんな状況なのか察する。考えてる合間にいきなり肩を押され壁に押さえつけられた。ギチギチと肩に鈍痛が広がる。男の力は女からするとこんなに痛いものなのか。と訳の分からない事を考える。

「苗字はさ、いつも僕には思わせぶりな事をしてるって自覚してる?授業中も見つめてきて短いスカートで誘惑してさ」

ぞわわわっとする背筋が疼く。やつは名前の、いや僕の太ももを撫で回す。やつをつき飛ばそうと腕を振るうと簡単にもパシッと手を取られ、皮肉にもまた壁に両手を抑えつられた。男のねっとりした気持ち悪い口が段々と近づいてくる。ステューピファイと唱えると男は呪文の威力に飛ばされ麻痺している。ゆっくりとやつに近づくと目だけこちらを見る。

『…お前みたいなやつに名前が靡くわけないだろ。女を恐怖で支配しようとか低能の考えでしかない。名前は僕のだ。二度と付かづくな。また僕の視界に入ってきたら今度こそ消してやる。低能な頭に記憶しとけ。』

男の顔を1発蹴ると男は白目をむいた。今だに少しばかり痛む手首を優しく触りながら元いた廊下に戻る。すると今度は女子がこちらに走り込んできた。

「あ、名前ー!あんた今まどこにいたの?」

無言でなんて答えようと考えていると女子は特に気にした様子もなくすぐさま喋り始めた。

「あんたのリ、ド、ルくん!大広間でとんでもない事になってるわよ!もう両手両足に前後ろ左右にも女子女子女子。もうそこらへんの女子全員ぐらいに囲まれてあれよこれよされてるわよ!」

『………は?』

「は?じゃないわよ!教えてあげようと私色んなところ探し回ったのよ」

『ありがとう。』

名も知らぬ女子。僕はすぐさま大広間に走る。久々に走るから少しばかり転びそうになりながら長い長い廊下を走りやっと大広間に着くと中に入る。大広間を出ていく生徒は「トム・リドルあんな性格だったんだな」「やるじゃん。」「俺の彼女もいる…」とヒソヒソ話しながら出ていく。皆が好奇の目を向けてる場所に顔を向けると僕がとんでもない数の女子に囲まれ「はい、リドル君」とパイを口に運んでもらっていた。傍からみるとやはり僕は何をしてても絵になるなと思う。ゆっくり近づき名前の目の前にたつと、とろんとした目付きをしていた名前はこちらを向き顔を一気に青ざめた。

『やぁ、リドル。なんだか楽しそうなことしてるね。』

「あ、は、そ、そうでもないよ」

『けど、リドル。私というものがありながら浮気ってよくないと思うわ。けど、あなたの事を信じてるからこれは見なかったことにしとあげる。だからもう行きましょ?』

「……はい。」

項垂れる僕はやっぱり美少年だな。と思い僕の腕を引っ張りながら寮へと戻る。その間名前は一言喋ることは無かった。


****

寮につき誰もいないことを確認したリドルはリドルの部屋にサッと私を引き込むとやっと肩の荷が降りたと言わんばかりにボスンとベットに座る。私はリドルが相当怒っていると思い目の前に正座をし始めた。

「………怒ってますよね。」

『怒ってないよ。別に』

「怒ってるんじゃん!」

『名前、僕に言うことない?』

「薬無理やり飲ませてすんませんでしたああああ。」

『違う。』

私はリドルが何を聞きたいか分からず頭を抱える。え、ならなんだろう。

「あ!あれか!リドルの羽根ペンの羽毟ったの私です!」

『お前だったのか。けど違う』

うむむむむむぅ。と悩む私を横にリドルは大きなため息をつくと目を伏せた。

『最近告白されたの?レイブンクローに』

そう言えばそういうこともあったなぁ。なんか妙に生理的に受け付けなくてあまり会いたく無いからと上手いことなわしてたのに。

「あー彼またなんか言ってきた?上手いことかわしてきたつもりだったのに。」

『今日中身が入れ替わって本当によかった』

「え!なに?まじ?気に入ったの?私はまた何時でも大丈夫よ!」

『そんなわけない。気にしないで。』

なにか言いたそうにリドルは苦虫を噛み潰したような表情をし私の胸元を探りパスケースを取り出した。あのパスケースは!!血の気がひき、鼓動が早くなる。

「ななななな中見たの!?」

『もちろん。名前が僕のストーカーなのは分かったよ。』

気づかれたらやばいと思い、真っ青な顔を見られでもしたら!とリドルに見せたくないと思いその場を立ち上がりカーテンに抱きつき顔を隠した。リドルは「僕の体でそんなことしないでくれる?素直に気持ち悪い。」と呟きながらコツコツと近づいてくる。カーテンをゆっくりと分けリドルが私の顔を掴む。

『あーあ、こんな状態じゃなきゃもっと楽しめたのに』

私の顔でニヒルに笑うとリドルはゆっくりと確実に私に口付けした。私は腕をリドルの胸に押し当て逃げようとすると彼は案外いともあっさり唇を離した。彼を見つめると私の目の間にはリドルはの美しい聡明な彼がいた。いつの間に戻ったのだろうか。

『え、なんで…。効果は1日…』

「馬鹿だなぁ。ちゃんと小瓶のラベルを読んだかい?ここに書いてあるだろう。」

私のポケットから小瓶を取り出しラベル側を私に見せてくる。それを手に取りラベルを凝視する。

楽しい世界へようこそ!
効果は1日!最高の日々を!
接吻により効果消滅

接吻により効果消滅??ちゃんと読むべきだった!そしたらもうちょっと楽しめたのに!きぃいいいい!けど、良いもんね。まだ小瓶の中身は半分もある!そっと小瓶をリドルに気づかれないようにゆっくりたポケットにいれる。その瞬間リドルは私から小瓶を取り上げ暖炉の火にそれを投げ込んだ。

『ぎゃああああああ!あれ高かったんだよ!すんごいしたんだよ!?私の3ヶ月分のお小遣いがあああああああ。』

「お小遣い?それってこれのこと?」

いつの間にかリドルが私のパスケースを持っていてそこから秘蔵のリドルの写真をすべて取り出した。

『あっ!いやそれは…」

「僕の写真の裏。値段が書いてあるね。たまに僕にはカメラを向けると思っていればまさかこんな金稼ぎに僕を使ってたとはね。それに僕はそんなに安くない」

『………ごごごごごごめんなさい。』

「別にいいさ。これはからはやらないでね」

ニコリと笑うとリドルはまたその写真をも暖炉の火に放り込んだのだ。

『……もう私は帰りまーす…』

すでに意気消沈の私はそっと扉に近づいた。後ろからリドルは私の名前を呼ぶと近づいて、スカートを魔法で長くした。

『え?長っ!なんだこれ!』

「スカートが長い。長さはこれが適切だ」

『嫌だよ!恥ずかしいよ!こんな長さ誰もしてないよ!』

「僕をあんな事に使ったり、生徒たちの前であんな恥をかかせたことを忘れたの?罰として最低でも半年はそれでいろ。」

私はすぐさまスカートを友達に教えてもらったマグル形式でグルグルと巻き上げる。けど何故かスカートは一向に長さが変わらない。

『な、なんじゃこれぇえええ』

「罰っていったでしょ。それとももうひとつの罰にするかい?」

そういいリドルはまたあのいやらしい顔付きで近づいてきた。私はキスされた時を思い出し顔を赤くして『半年でいいですぅうう』と叫びながら部屋を飛び出した。

「少しでも意識したかな…」

と呟くリドルを私は知らない。

20200928