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恐れていることが起こったら





やっと!やっと、この日が来た!長い長い1週間だった。バイバイ、ボーバトンの子らよ。

「教授ー!苗字がまた変なポーズとってまーす。」

「放っておきなさい。」

嫌だった1週間がこれで終わると思うと授業なんてやってられなくて、ストレスから解放されると思うと心が軽くなるよ。やっといつもの日常に戻れるんだ!『やっほーい!』

「教授ー、苗字の声できこえませんでしたー」

「彼女にはシレンシオをかけますね」

声は出せなくなったがそれを誰も気にすることなく無事に授業は終わった。え、ちょ、まって。教授、フィニート唱えて。喋れない。と言いたいが声は出ないし教授は私に呪文を掛けたことはすっかり忘れているようですでに教室から出ていった様で私は話せないまま教室を後にした。次は授業入ってないし特にやることもなく、大広間に行けば誰かしら暇してる友人が居るかもしれない。スキップしながら大広間へ向かうと丁度フクロウ便の時間だったようで生徒たちの脳天の上から容赦なくて手紙や宅配物が落下してくる。近くの生徒は本を見ていたためにそれに気づかず頭に直撃していて笑ってしまった。ぷぷぷと笑っていると私の頭にも衝撃がきてその場にしゃがみこみ頭悪い抑える。え、血。血出てないよね!?何度も痛みの場所を触り手を見るが赤いものは手につく気配はなかった。足元に落ちている小さな箱を拾い上げる。なんだこれ。誰からなんだろ。前にリドルが誰からか分からない物を開けると呪いや呪文が飛び出してくることもあるなら無闇にあけるなよ。と言っていたことを思い出した。けどやはり好奇心には勝てず、しゅるりとリボンを解くと震える手で蓋を触る。その時肩にポンと誰かの手が乗り、それにびっくりして、『ぎゃああああああああああああ!』と叫ぶが声は出ずに口だけがアホみたいに開いている。「名前さん?」と横から私の顔を覗き込んでいたのはレギュラスだった。『もうびっくりさせないでよ。』とパクパクと魚の様に口を開閉し、私は小箱をポケットにしまった。レギュラスは瞳を大きく開き私を近くのテーブルに座らせた。レギュラスが羊皮紙と羽根ペンを私の目の前にだす。それはこれに書けと言うことだろうと、私は羽根ペンを持ち特徴ある字を綴る。

《教授にシレンシオされた。たすけて》

「ふふ、口をパクパクしている名前さんを見ているとなんだか楽しいですね」

と笑うレギュラスはどことなく性格がリドルに似てきてるなと思った。《助けてよ!》とまた綴るとレギュラスは「しょうがない人ですね」と懐から杖を取りだし、私に向けると「レギュラス、そのままにしといて。いいザマだよ」とリドルの声により中断された。キッとリドルを睨むと悪そうな顔で笑い隣に座る。少し後からエリーゼが「こんにちは。」とリドルの横に当然の様に座った。リドルとあの夜の一件が会ってから初めてエリーゼと会うが、前よりもエリーゼの存在がそんなに妬ましくなくなったし、エリーゼにはなんの感情も亡くなった。エリーゼは今日で最後なんだと思うと、リドルといようが気にしなくなった。
《いちいち文字を書くのは面倒。》
「確かに会話できないのは少し不便ですね。」
《でしょ?早くフィニートして》
エリーゼがいるせいかリドルはボロが出ないようになのか、未だ杖を出すレギュラスを牽制している。私は無言のため息をつくと、1羽のフクロウが綺麗に空を羽ばたき、レギュラスの手の上に少し大きめの袋を落として飛び去って行った。レギュラスは杖をしまうと袋の中身をゴソゴソと触り私の前にふわりとマフラーを置いた。「これ、お菓子のお礼です。どうぞ受け取ってください。」『ありがとう、レギュ!』と言うと何故か声がでる。レギュも少し驚いている。横のリドルをちらりと見て何故かリドルがフィニートしてくれたのかと謎の確信を得た。『リドル、ありがとう』と言うとリドルは微妙に笑う。「名前さん、少し時間を頂いてもいいですか?2人で話したいことがあるんです。」と私を見つめている。「そして、トムにも。」少し待っていてください。とリドルとエリーゼは1番端の誰もいないテーブルに座りなにかを話し込んでいる。

『ねぇーレギュー。』
「なんですか?怖いんですか?」
『なっ、怖くわないよ!』
「エリーゼさんは何を考えているかわからない人ですね。少し付き合いづらいです」
『悪い人ではないんだろうけど、なんか私の癪に障るんだよね。今はそんなことないんだけど…なんの、話ししてるんだろ。』
「告白じゃないんですか?どうみてもエリーゼさんリドルさんに想いを寄せている様に見えますし。」
『あーやっぱり?恐れていた事が起ころうとしているのか…』
「大丈夫ですよ。名前さんが臆することはないですよ。エリーゼさんにはリドルさんを制御しきれないと思いますし、それにリドルさんは彼女の事は何とも思ってないはずですよ。」
『相変わらずレギュはリドルの事になると饒舌になりますわね。』
「褒めていただいて嬉しいです。あ、名前さんこれ食べますか?」
『え、お菓子?食べる食べる。』

レギュラスは私の口の中にころんと転がし、それを噛むと口の中でばごん!とそれが爆発した。『ぎゃあぁああ!』と私は背もたれのない椅子から後ろに転げ落ちてしまう。

『おーいたた。もうレギュ!爆発ボンボンならそう言ってよ!身構える必要があるお菓子なんだよ!』

と喋ると口から煙がこれでもかってぐらい出てくる。レギュラスはツボに入ったようで声を押し殺し机を片手でバンバン叩きながら頭を机に引っつけている。レギュは変なところで笑う子だな。
『そんなに笑わないでよ!恥ずかしいじゃん!見てよ、頭まで爆発…』
周りからもクスクスと指を刺され笑われ私は軽く涙目になる。
「こ、これよかったら、も、もら、貰って、いいです、よ。」
と笑いをこらえきれてないレギュラスは残りの爆発ボンボンを差し出してした。相変わらず爆発ボンボンの箱は少し大きくポケットに収まりそうにない。
「あ、終わったみたいですよ。」と2人を見るとエリーゼはリドルのハンカチで目を拭いている。リドルは立ち上がりこちらにくると、
「名前、呼んでる。」と言われ立ち上がり、私が座っていた所にリドルは腰を下ろす。『これ、持ってて。』とレギュラスから貰ったマフラーと爆発ボンボンをリドルの前に置いた。『何言われるんだろう。』と呟くとリドルは「大丈夫だよ。」と言われ、私はひと息吐くと、エリーゼの方へ近づき目の前に座る。エリーゼは今だ目を目を拭っていて、『あ、あの』と話しかけると「あっ、ごめんなさい」とハンカチをぎゅっと握りしめた。
『話ってのは、?』
「私、よく考えたら名前さんにはご迷惑ばかりかけていたんですよね。私、あまり友人が居ないものですから友人との距離感もあまり分からず名前さんを困らせていたのも事実です。本当にごめんなさい。」
『や、別に気にしてないですよ。それにもうエリーゼさんからは何度も謝罪受けてますし、もうこれ以上謝らないでください。』
「ありがとう、ございます」
とまた彼女はグズっと涙目になりその度にハンカチで拭う。
『あ、あの大丈夫ですか?リドルあー見えて口悪いからなにか気に触ること言われたとか…』けど、リドルだからそんなことは無いか。そんなん言われるの私だけだもん。ほかの女子にこんな扱いする訳ないし。
「いえ、違うんです。名前さん。私、トムに惹かれていたんです。初めて気の合う友人で男性と言うこともあり、私は当たり前に彼のこと好きになってました。実は先程の振られるのを前提で気持ちを伝えました。別に付き合いたいとかじゃなくて、ただこのまま向かうに帰る前にただ私の気持ちを伝えてさっぱり終わらせたかっただけなんです。名前さんと付き合ってるなんて知らなくてトムを占領してしまって申し訳なくて…」
『あの、私別にリドルとは付き合ってませんよ。』
「え、そ、そうなんですか!?……けどそうだとしても私には付き合ってるようにみえました。」私はなんと答えてよいか考えているとエリーゼさんは「話は終わりです。戻りましょうか」と2人で立ち上がった。歩きながらエリーゼは微かに小さな声で「名前さん、私と友達になってくれませんか?」とザワつく中で凛として聞こえた。私は『もちろんです。』と答えると彼女はポロリと涙を落とし、花のように笑った。その後は軽く話をしてエリーゼ達はホグワーツを去っていった。私とリドルはエリーゼが乗っている馬車を眺めていた。『ハンカチ、返してもらいそこねたね。』と言うとリドルは「別にいい。」と手を振っている。別にいいという言葉にリドルの色んな思いの意味があるように思えた。どんどん小さくなる馬車を見終わると「……めんどくさい死にたくなる1週間だった。」とリドルはため息を付いている。『その割にはエリーゼといる時は楽しそうだったじゃない。』「努力する奴は好きだ。エリーゼとの会話は退屈はしなかったさ」『そりゃぁ、よかったね』とポケットに手を入れると手に当たった小箱を思い出しそれを取りだしリドルに見せる。『どう?なんか呪いとかかかってそう?』と聞くとリドルは解けかけていたリボンを床に落としなんの躊躇いもなく蓋を開けた。ぎゅっと目を瞑ると、特に何も無くゆっくりと片目を開けると小箱には指輪が入っていた。
『この指輪…』
リドルは指輪を箱から出すと私の右手の薬指にそっとはめる。
「右手の薬指にはめるリングには意味があるのしってる?名前はたまに情緒不安定になるからね。心の安定って意味もあるんだよ」
『これ、どうして』
「欲しかったんでしょ?エリーゼから聞いた。名前がなにかを見てたって。」
『よく、わかったね。この指輪って』
「何となく、だけどね」
『……ってこれリドルから!?』
「相変わらず鈍感な脳みそだね。」
ほら、戻るよ。と歩き出すリドルを他所に私は指輪を愛おしそうに見つめた。

20201012