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立場が逆たったら




*エリーゼ主観
果てしなく長い。




友人らと案内された臨時控え室へと足を運んだ。すでにトランクなど私たちの荷物は部屋に置いてあり個々のトランクを自らのベットに運んでいる。私もトランクをベッドに置くと夕食までの時間を有意義に使おうと本を手に取りホグワーツの色々な場所へと赴き本と比べメモをとる。気になるものがあればあっちにとやっていると気づけば辺りは暗く明るかったホグワーツとは変わって見えた。ここはどこなんだろう。完璧に迷子だ。と手あたりに廊下を曲がるが、どこもかしこも同じような場所で何かに化かされているのではないかと思ってしまう。また廊下を曲がるとやっと生徒が1人おり、私は迷うことなく声をかけていた。臨時控え室を聞いてもどうやら分からないようだったけど、なんとかして助けようとしてくれる彼女に私は緊張のあまりホグワーツ愛を饒舌に語ってしまった。気づけば地下への階段を降りており、彼女は待っていてと奥へと消えてゆく。少し喋りすぎたかしら?と心の中で反省をしていると、彼女の後ろからトムが続けて現れ、嬉しくなりトムの元へと駆け寄る。彼女にお辞儀をしながらお礼を言い地下から上に出る。「あ、私彼女の名前を聞くのを忘れていました…」「あぁ…彼女の名は名前だよ」「名前、さん。」控え室につくとトムは「ホグワーツは広いから慣れてないと分からなくなって困ってしまうよ」
「本当にありがとう、トム」
「勉強熱心なのはいいけど、今度はちゃんと迷子にならないように勉強することを勧めるよ。」
と冗談ぽく笑う彼は暗い廊下へと消えていった。部屋に入るとまだそんなに遅くない時間なのに皆それぞれもうベッドの中で夢の世界へと旅立ってるようだ。少し遠い長旅だったしそりゃ疲れるわよね。と着替え私もベッドに入った。昨日とは違い私もすぐさま夢の世界へと落ちていった。

***


早くもホグワーツに滞在してから4日がたった。やはりホグワーツそのものの中で勉強するのはとても刺激的で新しい知識もどんどん身について言った。今日は休日と言う事でどうやら友人らは近くのホグズミード村と言うところに行くそうなので、私も一緒に行きたいです。とはとても言えず私は友人らから少し距離をとってあとをついていく。

「おはよう、エリーゼ。」

「まぁ、トム。おはようございます」

「ホグズミードに行くのかい?」

「えぇ、ホグズミードでも学べることがあるといいのですが。あとは両親へのお土産があればな、と。」

気づけば友人らはいつの間にか消えていて私はトムに藁をも掴む思いで「ホグズミードってどうやって行くんですか!」と尋ねると彼は「……ふっ、必死すぎ。」と笑っている。私は恥ずかしくなり少し距離をとった。

「よかったら、案内しましょうか?特に用事もないので」

「………お願いします。」

ホグズミードにつくと、思っていた以上に楽しくあちらこちらへと急ぎ足で回った。フランスとは違い個性的なお菓子があるなあと頭にインプットする。そう言えばこの前お母さんがバレッタが壊れてしまったのと言っていたのを思い出しそう言う類の物がないか聞くと「あぁ、それならこっちに」と案内してもらった。その途中に弟の好きそうな羽根ペンが売ってあったのでトムに「先に店に入ってて下さい。」と告げ私は羽根ペンを購入する。トムをあまり待たせないように急ぎならお店に着くとショーウィンドウの前に立ってなにかを見ている名前がいた。この前のお礼をちゃんとしたいのもあって声かけると、名前さんは大丈夫、気にしないでと言われ颯爽と去ろうとする名前さんを呼び止めようと腕を掴むと私は自分が思っていたよりも力が入り名前さんはその場に倒れ込んだ。本当に申し訳ないと言う気持ちと血が出ていて焦りが募る。そこにトムが店から出てきてトムに助けを求めようとすると名前さんの表情は見えなかったけど泣きいりそうな声で名前さんは去っていった。「彼女、どうかしたのかい?」「ショーウィンドウの前に立ってる名前さんを見つけたからお礼を言いたくて、そっそしたら私がっ、腕を掴んでしまって…」と焦りながら事情を説明するとトムの顔が少し違って見えた。「今日は無理でもまた名前さんと会うことがあったら謝ります。ごめんなさい、私のせいでこんなことになってしまって…。時間も残りわずかですし中に入りましょう?」と私が扉を開け中に入ると背後から彼の気配は感じられず入口横の窓から外を覗くとトムは名前さんが何かを見ていたショーウィンドウをじっと見つめていた。

***


ホグワーツへと帰る道中、私は無理を言って彼に最終レポートの手伝いとアドバイスを頼むと彼は快く了承してくれた。「あと、クディッチのことを詳しく調べたいんですがオススメの書物とかないですか?」と聞くと彼はシーカーを務めている友人が居るそうでその友人も呼んでくれることになった。図書室で待つこと数分トムより少しだけ身長の低い友人を紹介してくれた。彼はレギュラスさんと言うらしい。彼はトムと一緒でレギュラスと呼んでください。と言うとクディッチについてとても詳しく教えてくれた。2人が居れば最強じゃないと言うぐらいどうまとめようと思っていたレポートが凄まじい勢いで完成へと近づいてくる。「ひと息しませんか?」と私が言うと2人はそうだね。といいつつもやはり話すことはレポートの件についてだった。「レギュラス、トム本当に助かるわ。よかったらこの後一緒に食事でもいかが?」トムは「勿論、レギュラスはどうする?」と聞くとどうやらレギュラスくんは迷っているようだった。

『レギュ、今少しいいかな?』

彼は名前を呼ばれるとどことなく嬉しそうに声の主の元へと行ってしまう。後ろから遠目で見るとあれは名前さん!?よかった。ボーバトンに帰る前にもう一度会えて。彼女にはどうしても謝りたかった。それにただ純粋に彼女と話してみたくなった。二人の会話は聞こえないけど、どうやら何かを渡しに来たようだった。私は会話が終わるタイミングをまった。

「トム、名前さんも夕食に誘いたいんですけど大丈夫ですか?」

2人から目を離しトムを見るとどこか切ないような儚げな顔をしていた。「トム?」と言うと「僕は大丈夫。ほら今が誘うチャンスなんじゃない?」トムの助言通り名前さんは帰るところを私は無理やり引き止め、なんとか食事してくれるとの事で安堵した。
やはり気が合う友人らとの食事はすごく楽しいものであっという間に時間が過ぎてゆく。この時間をたっぷり堪能したいと言わんばかりに食事をする手まで止めて会話を楽しんだ。レギュラスは名前さんとは本当に中が良さそうで少しばかりそんな友人がいて羨ましいなと思う。声をかけるとレギュラスは堂々と大切な友人の1人だと言うと名前さんは綺麗な頬が少しだけ赤らんだ。「どういうことは、トムも名前さんと?」と純粋な疑問から質問すると一気に静けさが入り込んだ。え、なにか聞いてはいけなかったのだろうか…。どうしたらとあわあわしているとトムは助けてくれるかのように話を振ってくれた。トムと会話を楽しんでいるとレギュラスは名前さんにナプキンを渡し豪快に拭き取っている。それを横目で見ながら会話に戻るとトムは笑っていた。ホグワーツにきて、彼にあって初めての顔だった。少しだけ。少しだけ名前さんが羨ましい。名前さんともっと話したかったけど名前さんから私はあまりよく思われていないっぽい。あまり名前さんとは話せなかった。私はもうすぐボーバトンへと帰らなきゃ行けない。手紙のやり取りをしようと彼に言えるはずもなくこの少ない残り時間を楽しもうと会話をした。しばらくするとトムは無言で立ち上がり少し急いだ歩きで名前さんの元へと近づくと無理やり彼女をたたせ医務室へ連れていくと出ていってしまった。名前さん、具合が悪かったなんて知らなかった。また名前さんに嫌われるような事をしてしまった。よくよく考えれば彼女はこの食事すら返事を聞く前に私が無理やり
突き合わせてるじゃない。彼女に対しての罪悪感がどんよりと心を支配し始めた。友人の元へと行ったレギュラスが戻ってき、「名前さんは大丈夫です。心配はしないでください。あとリドルさんが謝っといて欲しいって。それと今日はもう戻って来れそうにないからエリーゼさんには申し訳ないんですが、ここで解散ですね」とレギュラスは早口で言うとまた友人の元へと戻って言った。1人で食べる気にならなく、私は頭を冷やしたいと少し遠回りをして控え室を目指した。心は曇っていてもやはりホグワーツの事が気になりあちらこちらを見ながら歩くことになった。中庭を隣に廊下をあるくと、とても大きい湖の一部が見え、どのくらいの広さなんだろうと、近づくとどうやり畔に誰かいた。見た感じカップルであろうか、男女が向かい合ってなにを話している。気にすることなく湖への道を少し歩くと男女の顔は見え私はひゅっと息が止まり体が固まる。トム、と名前さん?医務室に行くんじゃなかったのかしら、名前さん体調は大丈夫なの?とよく分からない事を考えてしまう。名前さんがトムに抱きつくとトムも両手で彼女と包み込んだ。それだけでトムと名前さんがどんな関係かわかってしまう。私は踵を返し、控え室へと向かう。別に隠さなくても良かったんじゃない?付き合ってるって。言ってくれたら良かったのに。確かにトムには惹かれてる自分がいた。まだ彼に手が届くとすこし優越感にも浸っていた。けど今見たことが現実で私の想いは彼には伝わらないのか。と思うと嫌な気持ちになった。こんな気持ちになるんだったら会わない方がよかった。けど、なにより悲しかったのは友人に隠し事をされていた方がつらかった。
「あーぁ、ちょっとつらいなぁ…」
名前さんはいいな。大切な友人と言ってもらえる友人がいて、恋人がいてホグワーツに入学していて。名前さんには嫉妬と罪悪感の感情しか湧かなかった。名前さんと私が立場が逆だったらなぁ。すごく楽しい人生を歩めたんだろうな。私にはそんな友人すらいないもの。
控え室に入ると友人らは私をちらりと見るとまた楽しげな話をし始めた。その会話を聞きたくないと枕で両耳を塞ぐと寝に入ってた。
私ってどこにいても1人なんだな。

20201012