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「名前、僕次はルーン文字学取ってるから。名前は?」
「特になにも。次は中庭でのんびりとしようかって思ってるの」

そういえばポケットにほねほねキャンディ入れてたの忘れてた。いつから入ってるのか分からないし今食べてしまおう。キャンディを宙に放り投げ見事に口でキャッチした。「行儀悪いな、歩きながら食べるのはよしなよ」とリドルが注意してくるが、いつもの事なので無視を決め込んだ。

「そういえば名前」

リドルはいつになく真剣な声で私の名前を呼んだ。その場に立ち止まるとリドルと向き合った。

「な、なによ。そんな顔してもキャンディはあげないからね!」
「馬鹿なの?死にたいの?」
「じゃぁ、なによ」
「ほら、さっきの子。日本人の」
「あぁ、佐藤さん!」
「そう、その子。あまり仲良くするのはよくない」
「な、なんで?」
「なんとなく。分かった?僕はもう行くから。授業が終わったらいつもの所で待ってて。」

それだけ言うとリドルは脇目も振らずに廊下の奥に消えて言ってしまった。へんなリドル。なにか気になる事でもあったのかな。どれだけ考えてもリドルの言葉の裏にある意味なんて私には分かる訳がない。頭を使い過ぎた私の脳は睡眠を欲している、気がする。今日は天気もいいし中庭で昼寝でもしようかな。中庭へと続く廊下は心地よい風がすり抜けていく気がする。どこか空いているベンチはないかな、と探すと空を見ている女生徒が1人ぽつんと座っている。「あれは、佐藤さん?」ゆっくりと近づくと寝ている様だ。顔が横になっている所為か顔には行く数もの髪の毛が覆っており、少しウザそうだ。起こさないように小指で髪の毛を横に流すと可愛い顔が姿を現した。横に腰を下ろすと心地よい風に乗っていい匂いした。これはシャンプーの匂いかな。

(あまり仲良くするのはよくない)

先程のリドルの言葉が頭の中で反芻した。あれは本当にどう意味だろうか。こんなに可愛いのに。可愛いは正義なのに。佐藤さんを見れば何故か輝いて見える。「、ん」と甘い声が佐藤さんの口から漏れた。虚な目は私を見ると一瞬にして目は大きく見開かれた。

「な、なんで隣に…」
「ごめん、なんか気持ちよさそうに寝てたから。私、暇でさ。よかったら少しお話ししない?」
「えぇ、…もちろん」
「よかった!この学校で日本人なんて全くいないからどうしても話してみたくて」
「確かにそうですね、あまり見かけたことはありません」
「でしょ?だから佐藤さんとは仲良くなりたくて」
「先輩は、」
「なぁに?」
「先輩はいつからトム先輩と仲がいいんですか?」
「リドル?そうだなぁ。確か1年の半分が過ぎたころかなぁ」
「なら丸々3年間ずっと一緒に行動してるんですか?」
「ずっと一緒って訳じゃないよ。仮にもこうして今は私は1人なんだし。」
「そう、ですか。実は私先輩に相談したいことがあって。」
「お?何かな!?」
「実は私トム先輩を好きになってしまったんです。よかったら名前先輩に協力してほしくて」
「いや、リドルは恋愛に全く興味なんかないし、今まで告白した女子を散々な断り方してるしその、私もう傷付く子を見たくないの」
「でも私も彼女になる資格はあるはずなんです。だから協力してほしくて…だめ、ですか?」
「う、うーん…」
「ありがとうございます!よかったら今日のお昼一緒にしてもいいですか?」
「えと、一応リドルに聞いてみるね」
「あ、ばったり会った設定で行きますので、大丈夫ですよ!それではまたお昼に!」

そう言うと佐藤さんは走って言ってしまった。佐藤さんがリドルを…。協力してほしい、か。あまり気が進まないなぁ。きっとリドルはまた機嫌が悪くなる。しかもさっき佐藤さんと仲良くなるな、と言われたばかりなのに。

16.02.18
22.05.17-修正・加筆-

(あまり仲良くするのはよくない)

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