×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
「あー、全然終わらないよおお!!なにこの茶番劇は。もうやだ。帰りたい。」

リドルは私がいなくてもちゃんとやっているだろうか。まぁ、リドルの事だからなんの問題もなくすでに終わっているかも知れない。これは急がねば私だけこの悪魔の教室に取り残されてしまう。ポケットから花びらを取り出すと残りは4枚のようだ。どうしよう、と周りを見渡すと隣には見るからにまだ糊が効いたローブに身を纏っている3人組がいた。一枚余るがとりあえず減らさねば、と私はその3人組に声をかけた。

「ねぇ、ねぇ。」
「は?」

3人は一斉に振り向き私を上から下まで品定めする様に見ると、不機嫌な声を出しだ。初対面で「は?」はないと思うが本当に時間がないので私は敢えてスルーし話を続けた。

「あのさ、私に残された時間は後5分とないのよ。けどほら私の手の中には3枚の花びらがあるの。よかったら交換してくれないかな?」

3人はしばし何かを考えている様だった。けれど私に害はないと思ったのか3人とも私の掌から花びらを一枚ずつとると、その代わりに自分達の花びらをゆっくりと置いてくれた。私は手をひらひらしながら「ありがとー!!この恩はきっと忘れないからねー!」と私は扉に向かい走り込んだ。きっと少しだけ不機嫌なリドルが待っているはずだ。リドルの真っ黒で綺麗な黒髪を目印に色々な方向へ頭を向けながら探す事数分、全く見当たらなくて肩を落とした。

「名前?」
「リドル!よかった!もしかしたらもう帰ったのかと思った!」

リドルに駆け寄り細い腰に抱きつくと、とても低い声で「離せ」と声を出した。久々に聞くこの声は私の全身を駆け抜け腰が抜けそうになる。なんて、いい声なんだろう。

「いい加減、離してくれない」
「本当に帰ったかと思った!絶対先に帰ったかと思った!」
「まぁ、実際あと1分待って来なかったら帰ってた、と言いたい所だけどまだ1枚残ってるんだ。」
「忘れてた。そういえば私も1枚残っているんだった。……あ!そうだこれ互いに交換しよう!」
「名前はアホなの?他学年としか交換できないとあの狸が言っていただろう。」
「いいのいいの。大丈夫。ほんと真面目なんだから。任せて」

なかなか花びらを渡してこないリドルの手から花びらを奪い取ると、すぐに私の花びらをリドルの手に乗せると、リドルは小さくため息をついた。

「…全くしょうがないな。ほら帰るよ」
「…あ!」
「なに、まさかまだ花びらが残ってたとか言わないよね」
「違うよ!私あの噂の女子見てない!」
「なんだそんな事か。くだらない。」
「どっかで見たりしなかった?」
「いや、見てない。」
「そっかぁ…。楽しみにしていたのにな」

なにも言わなくなったリドルを見上げると険しい顔つきで私の後方をじ、と見ている。「リドルたん?」茶化すように声をかけるが反応はない。なにを見ているのだろう、と振り返ろうとすると、いきなり私の頭はリドルの手によって止められた。「行くよ」少しばかり強い力で私の腕を引くと扉へと進んでいった。意味もなくリドルはこんな事をしない。けどリドルはなにを見ていたのだろうか。

16.01.07
22.05.17-修正・加筆-

「いい加減、離してくれない」

prev | next