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ダンブルドア教授の瞳は昔と違い、少しだけ曇っているように見えた。

「ダンブルドア教授!いつの間にの校長になっちゃったんですか!びっくりだよ!」
「名前は相変わらず変わっていない様じゃの。」
「私は、まぁ。その、はい。」
「その見た目からすると約10年ほど前から来たと見える。」
「10年…。ダンブルドア教授は不思議ですね。何も言わなくても何でも知っているんですもの。」

ダンブルドア教授は、優しく笑い「レモンキャンデーは如何かの」と進めてきた。瓶から一つだけ貰うと口に放り込む。

「あ、そうだ。教授、私の時代に戻れる方法しりませんか!」
「その前に名前や、まさかトムと会ったのかね。」
「はい。こちらに来た時にすでにリドルの所で。」
「トムは元気だったかの」
「昔と全く違いました。けど、相変わらずリドルはリドルでしたよ。優しいまま」

ダンブルドア教授の目がまた少し曇った気がした。ダンブルドア教授は遠い目で窓の外を見てている。

「すまんが、儂は過去に帰る術を、知識を持ち合わせておらぬ。ただ、過去へと帰れたならば今度こそトムを、トムに愛を与えてやってはくれんかの」
「何を言ってるんですか?私はリドルと会った時から愛しか注いでないんですよ!そんなの言われなくても分かってます!教授こそ、その歳になってまでリドルに愛を…とか言ってるからリドルに嫌われるんですよ!?」
「ほっほっほっ。それもそうじゃの。君の友人を連れてくるから暫しここで待つのじゃ。」とダンブルドア教授は扉をしめた。と思ったらまた少し扉をあけ「大人しく待っておるのだぞ」ともう一言いうと今度こそ扉は開かなかった。友人って誰のことだろう。まさかレギュかな!?と考えながら窓の外を覗くと生徒らが飛行訓練の授業中らしい。飾ってある陶器を手にとり暇を潰した。暫くすると勢いよく扉が飽き、ビクリと肩を震わした私が持ってた陶器はがしゃん!と音を立てて粉々に砕け散った。やばいやばい、と杖を取り出すと「れぱろ!れぱろ!」と唱えるとなんとも無様な陶器へと変わった。「いや、うん、これバレるだろーな。」と元あった場所へと戻した。

「名前っ!」
「セブルス…どうしてホグワーツに…。はっ!まさかセブルス留年しちゃったの!」
「落ち着け、名前。ホグワーツに留年はない。あるとしても退学だ。」
「あ、そうなんだ。よかった。」
「よかったではない!それにどうしてここに居るのだ。我が君の所に居たんじゃないのか。」
「わ、我が君?」
「……リドルさんの事だ。」
「なんかリドルって色々な名前が沢山あるのね。我が君ーとかぼるなんちゃらとか。あ、そうだ。セブルスこれちゃんと直して。私またあのミネルバって人に説教されたくないの。」と私は先程の陶器を指さした。
とりあえず部屋を変えようとセブルスは扉を開けた。「ねー、どこいくのー?」と聞けば「静かに」とだけ言う。「とりあえず我が君の所に帰るぞ。」と小声で話をしてきた。

「帰りたいのは山々だけど、その前に少しだけ話さない?聞きたいこともあるし。」
「ここにいる事が知られたら大変なことになるとは思わんのか、この馬鹿者が」

セブルスは歳をとって眉間のシワもより一層深くなってるなと少し思ったら笑ってしまった。そんな私の変な笑い声にセブルスは睨みを効かせた。

「相変わらず訳分からんところで笑う癖はどうにかならんのか。」
「むーりーですー。そういう性格なんですー。チャームポイントなんですー」
「もう、本当に黙っていてくれ。」

道中の廊下で生徒ら4、5人がなにやら揉めている。どうやらスリザリン生が他生徒に一方的に嫌がらせしているようだ。セブルスは少し待っていろと言うと生徒らの間に入っていった。私の近くでそれを見ていた生徒が「またスネイプのスリザリン贔屓が始まるぞ。」「スリザリンが悪くても絶対点数引かないんもんね。」「だからスリザリンがまた調子に乗るのよ。」とヒソヒソと話している。私はセブルスに向けて「セブルスー!スリザリン贔屓してるって本当なのー?!」と声を張り上げるとセブルスは真っ青な顔をしてこちらにカツカツと近づいてくる。
「うわ、こいつまじか。なんてこと言うんだよ。」「とりあえず行こうぜ。巻き込まれたくない。」と生徒は一目散に散っていった。

「貴様、シレンシオかけられたいのか」
「毎回そう言うけど1度も私にそんなことした事ないじゃない」
「とりあえずこちらだ」

早歩きするセブルスに必死についていく。周りからなぜなジロジロ見られ、鼻で笑われる始末だ。地下室のある扉に入ると壁は薬品棚で一杯で、テーブルの上も実験道具やらでめちゃくちゃな状態だった。セブルスは深いため息をつきながら椅子に腰を下ろした。「セブルス、紅茶飲みたい」と言うと希望通りにスネイプは紅茶を出してくれた。

「とりあえずそれを飲んだら屋敷へ帰るぞ。どうやってここまで来たんだ…」
「いやぁ、リドルが言うには姿表し出来たっぽい。」
「名前の分際でよくバラけなかった事に驚愕する。屋敷と、ここまでではかなり距離があると言うのに。」
「バラける?姿現しってそんなに怖いことが起きる魔法はなの?怖い。」
紅茶に口をつけるセブルスをじと見ると、昔とは違い彼はより一層顔色が悪い。ちゃんと食べてるか聞くと「あぁ」と短く言われるだけだった。

「それじゃ、私の質問に何でも答えくれる?」
「質問による。出来るだけ答えよう」
「リドルに聞かれたくない話なの。今のリドルは私の知っているリドルじゃない。なんであんな冷たい目をしているの」
「それは…名前。お前が我が君の目の前から消えたからだ」
「私…?消えたってどういう事?死んだんじゃ無いの?」
「確かにお前は息をしていなかった。だが、お前は消えたんだ。目の前から」
「…なら私の体は」
「あぁ、まだ見つかってすらいない。当時は我が君は血眼になりながらも名前の事をどうにか必死に探していた。だがそれもある日いきなり我が君はお前を探すことをやめた。ぱったりな。それからだ。あの目をする様になったのは…。今では我が君の中でお前の名前すら出すのはタブーだ。」
「…そうだったんだ。なら私はまだ死んでいないのかもしれない。」
「…なんだと?」
「だって消えたってことはさ!まだどこかで生きているかもしれないじゃない!」
「だが…それは…」

スネイプは顎に手を当て何かを思案しているようだ。私は周りを見渡すと懐かしいような雰囲気がした。

「てか、セブルス、先生になったの!?セブルスが教授とか今日1番の驚きよ。そんな教授様には私を過去へと返す方法を探すよう命じます」
「我輩よりも適役がいるであろうに」
「えー、もしかしてダンブルドア教授?」
「……はぁ。」

スネイプはため息をつきながら私の腕を掴み、「とりあえず我が君の元に。」と私を校外へと連れ出した。
つかまれと言うスネイプの背中にジャンプして首に両腕を回し「準備万端よ!」と言うとまた気持ち悪いあの感覚が私を支配する。
「ぉぇえええええぇぇぇ。」
ぼろぼろとまた胃の中の物を地面に戻すと、セブルスは嫌な顔をし、1歩、また1歩と私から離れた。
「い、やいや。それはそれで、傷つくから。戻ってきて。」
セブルスの後に続いて、扉に入ると、またここに戻ってきたんだ。リドルの元に。数時間しか離れていないのに森の怖さをまた思い出してどうしようもなくリドルに会いたくなった。セブルスからの助言は「とりあえず謝って話を聞いてもらえ。適任者に」との事だったから私は先程のリドルがいた扉を開いた。私は走りながらそのままリドルの腰に抱きついた。

「リドルのせいで怖かったんだから!二度と禁じられた森の奥深くだなんて行かない!」
「貴様が勝手に消えたのではないか。なんでも私のせいにするな。」
「我が君、失礼します。」
「セブルス、実は」
「ねー!だから怖かったんだって。聞いてる?」
「少しは黙っていろ。」
「さっき部屋に戻ったら、話を聞くっていったよね?」

いきなり部屋中にいい匂いがし始め、匂いに釣られ顔を向けるとテーブルにはマカロンが乗っていた。私はテーブルにダイブすると一目散に頬に詰められるだけ詰めると咀嚼し始めた。

20.10.13
22.05.24-修正・加筆-

「ぉぇえええええぇぇぇ。」

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