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死んだ。リドルがそう重く低く辛そうに言い放った。私は「信じられない」とぽつりと消え入るように呟くとリドルはより一層抱く力を強めたのだ。

「……私、佐藤さんに殺されたの?」

静かな空間に私の声がひっそりと響くとリドルは少しだけ体が強ばった。未だにリドルにとって佐藤さんと言うワードは地雷なのかもしれない。

「……名前、私は…」

リドルがなにか言いたそうにした瞬間、奥の部屋からノック音が響いた。リドルは怠そうにベットから足を下ろすと元居た場所に戻り「入れ」と言い放つ。「失礼します。」と誰かが入ってきたそうだ。私はゆっくりと自分の足音を殺しながら少しだけ空いてる扉から目を覗かせた。リドルの背が高い椅子が邪魔で肝心の人はよく見えない。ただその人の重低音の声は昔から、知ってるような懐かしい声だった。私はその声の主の姿かたちを頭に思い浮かべながらゆっくり扉を開けた。目を向けるとそこには私を見てまん丸く目を見開く友人がたっていた。

「………名前…か?」

そう呼ばれると大きな泣き声を撒き散らしながらその人物に抱きついた。彼は昔よりも歳をとっていて身長も顔も少し変わっていたが私の大好きな声だけは全く変わっていなかった。

「セブルスぅああああああ……ぅあああ」

セブルスの腰に腕を回し、わんわんと泣きわめく私にスネイプは優しく背中を叩いた。

「我が君…これは一体、」
「私にも分からぬのだ。」
「ぅおおぉおん……。セブルスあいたかったよぉ!気付いたら全く知らない所だし、私の知ってるリドルは全然知らない人になってるし、私は死んだとか言われるし…」
「…名前、離れろ。」

リドルは私を睨むと体が勝手に、べりっとセブルスから剥がされ横のソファの上にドサッと落とされた。

「よいか、セブルス…この事は内密にする。」
「……はっ」

と言うとスネイプは思い出したかの様に用事を済ませると、踵を返し扉へ向かって行った。私は、焦りながら「セブルス、行かないでよ!」とすぐさまセブルスの腰に再び抱きついた。リドルは私と会ってから1番大きいため息をついたのだった。

***


私は今すごく横に長いテーブルで、先程もらった日記帳に羽根ペンで文字を綴っていた。リドルとセブルスは2人で大事な話があるらしく私は別室で暇を持て余していた。この日記帳はすごく懐かしい。よくリドルの目を盗んではこの日記帳に色々書いたものだ、と昔を思い出しつつ私は頭に思い浮かんだことを書いてみた。

今日は未来のリドルと会った。変わりないことはないけど変わってた。

羽根ペンの先を鼻にポンポンと当てながら私の字可愛いわ、と思いながら次は何を書こうかなと思案してると私の書いた文字はすぅっと消えていったのだ。「…え!?」すぐさま次のページを開くとそこにも文字はなかった。え?どういうことですか?私の可愛い字はどこに…。軽くホラーな展開にビビりながら日記帳を捨てようと考えているとページに文字がふんわりと浮き上がってきた。

ヴォルデモートがそれを聞いたら
呆れるだろうね。

その字はまさに私が知っているリドルの書いた文字だった。私はそれを読み終えると同時にまた文字はすぅっと消え失せたのだ。すぐに羽根ペンをカリカリと走らせた。

え!?リドルですか!?

はい。リドルです。

え!この日記帳なんなの?リドルと会話できる感じなやつ?

まぁ、そうだね。ただもう
文字書くのめんどくさい。

それを最後にいくらなにを書いても返事は一向にページに現れなかった。私はまだリドルと、私の知ってる時のリドルと話したいが為に焦りを覚えていた。すると肩にトンと誰かが手を置いたひんやりとした感触が頬に感じた。私は振り返るとゴーストリドルが「めんどくさいから出てきた。」とあっけらかんの顔をしていた。

「でっ…出てこれるならなんでさっさと出てこないのよ!!」
「…僕さ実体化すると結構魔力使うからそんなにぽんぽんとは出て来れないんだよ。」
「魔力???魔力がないとリドルきえちゃうの??」
「まぁ、そういうことだね。名前にしちゃ早く理解出来たね」
「あ!なら私の魔力あげるから!ね?」

リドルは私の真横の椅子に腰を下ろすと深いため息をついた。

「馬鹿だなぁ。名前は。未来の僕の話を聞いていなかったのかい?名前は何故か未来に来ていて、そして何故か魔力は1ミリもないんだよ?僕だってヴォルデモートから最後に魔力を貰ったのは随分前のことだ。多分…君の前に姿を表すのはこれが最後だ。」
「なんでそんな事言うの?さっきからセブルスも未来リドルも部屋に閉じこもって私を仲間外れにして楽しんでるし、私もうゴーストリドルが居ないと…」
「名前、僕……いや、いいや。なんでもない。名前寂しくなったら僕のことを思い出して…名前はひ、とり…じゃ…ぃ」

ふっといきなりリドルは私の前から姿を消したのだ。私は叫びながら日記帳を抱え、すぐ様リドルの居る部屋のドアノブを回すが開く気配はない。私は「リドルぅうううう」と半狂乱に叫びながら扉を全力全霊で叩き始めた!「開けて、開けてよぉおおお!」勢いよく扉が開いた瞬間に私の頭に鈍い痛みが伝わってきた。片手で頭を抑えながら顔をあげるとリドルが拳を握り「静かにせんか。愚か者め」と相当お怒りな様子だ。「こっちもこっちで緊急事態なの!ねぇ、お願いだからこの日記に魔力注いでよ!リドルがっ…ゴーストリドルが消えちゃったの!」リドルの前に日記帳を差し出せばリドルは「断る」と呟き部屋から追い出したのだ。

20.09.25
22.05.24-修正・加筆-

はい。リドルです。

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