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外に出ると6月とは思えないほど肌寒い。そんな中セブルスから衝撃的な事実を聞いたのは一ヶ月も立たない内に4年生に上がる時だった。

「….リドルさんはどうしたんだ」
「やっぱりなんかリドルおかしかった?」
「貴様の事を覚えていないと見受ける」
「………はい?」
「名前、リドルさんはお前の事を覚えていない」
「リドルが、私の事を…なんか笑えてくるね」
「なんと流暢な。笑い事ではないだろう」
「ほん、とわらえ、てくる、」

唇を強くかみしめ、堪えてた涙がボロボロと零れた。拙い咽び声が小さく響いた。メガネにポトポトと水滴が貯まり溢れた水滴はスカートに吸い込まれてシミが出来た。セルブスはどうしたらいいんだと言う状態でアワアワして、いつもなら笑えるのに出てくるのは涙ばかりだった。涙で濡れたメガネを通して見る世界はすべてが歪んでいて吐きそうだった。私はこれからどうして行けばいいんだろう。リドルがいない今、どうしたらいいのか分からない。
「セブルス、ごめ、んね。わざわざありがとう。少し一人になりたいんだ。また連絡する、から。ほんとにごめん、」

セブルスから離れて歩き出した。未だに涙は一向に止まることがなく大声で泣きながらどこに向かってるか分からないまま、歩いてた。その時、誰かにぶつかり地面に倒れ込んでしまった。私は下からぶつかった相手を見ると、それは佐藤さんだった。彼女は何故か笑っていて「どうしたんですかぁ?」と手を伸ばしてきた。いつもなら可愛い笑顔も今では何故か不気味な笑顔に見えたのだ。根拠は無いけどリドルが変なのは絶対に佐藤さんが絡んでいること間違いないと確信してしまった。
「先輩、大変ですねぇ。トム先輩って何故か先輩のこと知らないとかいってましたよ?喧嘩でもしたんですか?」
と笑いを含むように言ってきた彼女に初めて憎悪感が私を支配した。耳元で悪魔に囁かれたように感じた。「憎悪感とは永遠に、その気持ちが消えることはない」と前にリドルに勧められた本で読んだことがある。確かにそうかもしれない。彼女がリドルに何かをしているとしたら、私は彼女を一生恨み続けるだろう。
「でもこれで私と名字先輩は同じスタートラインに立てたんですよ。ふふ、嬉しい」

まるでそう、まるでリドルがおかしくなったのを喜んでいるようで一気に頭に血が上るような感覚にぞくぞくとなる。彼女を睨みつけてるとその瞬間何かが私の中に入ってきた。 無音声の映像が一気に頭に流れこんできた。時計塔でリドルが寝ていて、彼女が杖を向けて。けど、これはなに。薄暗い部屋に女の子がいて辺りが光に包まれて佐藤さんになった。よく分からない。肩にドンッと激しい痛みがしてハッとすると佐藤さんが肩を殴ったようだ。
「私、に何をしたの…!」
そう言うと佐藤さんは通り過ぎていった。ぶっちゃけ映像が入ってきてなんの話も聞いていなかった。いつの間にか雨が降っていて私のローブは雨を含み、重くなっていった。落ち着いたらセブルスに相談しに行こう。リドルがいない今の私にはセブルスしかいないのだから。

16.03.14
22.05.17-修正・加筆-

「私、に何をしたの…!」

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