クロム・ゲラン


portrait

 ルニ・トワゾ歌劇学園二年。
 身体での表現を得意とするクラス、クーデールに所属し、主にダッキーおよびスワンを担当する。
 入学当初は髪が短く、その人好きのする快活な振る舞いが演技とダンスに表れていたため、クロウないしレイヴン候補として育成される予定であったが、入学後しばらくののちに髪を伸ばしはじめ、ダンスにダッキーやスワンとしてのしなやかな要素を取り入れるようになった。生来の少年的な性格や纏う空気感に一筋の女性美が差すことで、二年になった現在、クロムは蠱惑的なダッキーやスワンとして開花しつつあり、担任のガーネットには魔性の女的役柄を当てられることが多い。
 前述した通り、クロムは明るい性格の気さくな少年で要領もよく、人と言い争いになることはほとんどない。しかしながら、同輩のインディゴ・インクブルーとだけは別らしく、ダンスはもちろん日常生活の事柄においてもたびたび衝突し、言い合いになっている姿がよく見られる。インディゴの方も普段は物静かなものなので、互いに何か火を着け合うところがあるのだろう。ガーネットの評としては、「超絶仲良し。無問題」とのことである。また彼は、クロムが自らのダンスに女性の要素を宿し出したのは、何を隠そうインディゴに出会い、そのほかでもない彼のダンスに当てられたからだ、とも断じていた。
 しかしながら、インディゴとクロムのダンスは異なる。どんなときでもダンスにしがみついて離れない彼の表現には、インディゴのそれにはない、どこか血の通った肉感がある。その血のにおいこそが彼のダッキー或いはスワンとしての妖しさを引き出しているのだ。そうして美しさは無数に枝分かれしていく。同じ空に羽ばたく鳥の色が、無限に存在するのと同じように。


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