マリアンヌ・デュアメル


portrait

 ルニ・トワゾ歌劇学園、ココリコクラスの卒業生にして、元劇団ロワゾ団員。
 現役時代は主にスワンを務め、観客から「メルル」の冠を戴き愛されていたが、メルルの呼び名を贈られた役者としては二十三歳という異例の速さで引退を決意し、表舞台から姿を消した、様々な意味で当時の観客の心に残り続けている役者でもある。
 現在は自身の出身地であるローレア北部のベルロージュにて「ラ・ヴォワ・ラクテ」という名の児童歌劇団を運営しており、エグレットクラスに所属するイレイザ・メテオブライトも彼に指南を受けた生徒の一人である。
 また、十五歳にして劇団ロワゾ入りしたダリア・ダックブルーとはその当時からの昔馴染みであり、十八歳の頃、レイヴンとして初めて舞台に上がったダリアのスワンを務めたのは、ルニ・トワゾを卒業してロワゾ入りしたマリアンヌであった。まなざしや呼吸だけで分かり合うような彼らの演技や二重唱は、かつての観客たちの胸を強く打ち、くるおしいほどにときめかせた。ゆえに、マリアンヌはダリア・ダックブルーのスワンを最も多く務めた役者でもある。今でも二人の現役復帰や共演を望む声は多く、絶えることがない。
 余談だが、マリアンヌはダリアの初恋の人であり、これはほとんど周知の事実である。
 誰がどう見ても彼らは互いに好き合っているようにしか見えないため、好きならばさっさと好きと言えばいいものを、物を言うのはまなざしや行動ばかりで、ダリアは中々勇気が出ずにいるらしい。或いは、彼はそのための助走を二十年近くし続けているのかもしれない。おそろしいことに。彼はしばしば、そういうところがあるものだから。


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