アンチック・アーティーチョーク


portrait

 アトモスの担任教師。
 クラス担任の他には、主に演技指導の授業を担当している。
 劇団ロワゾの元クロウ。クラスを担当している他三名に比べると、やや知名度は低いが、彼が舞台に上がるとそれだけで舞台に奥行きが生まれ、瞬く間に世界が構成させる。
 彼ほど空間把握に優れた役者が今後生まれるかは、ある種、彼に懸かっていると言っても過言ではない。
 彼はいつも「そこでしかあり得ない」位置を把握し、常にそこに立つことができる。
 それはただ単に才能というだけではなく、ただ単に、彼はとにかく考えるのだ。台本を数百回読み、舞台の上に数百回立ってテストを繰り返し、そういった数千の努力のもと、彼の立ち位置は導き出される。そして彼は、生徒にも同じことを要求する。
 アトモスには演劇未経験者が組分けられることが多いが、しかし当然、経験者も組分けられる。経験者はアンチックという「脇役」の教師が担当するアトモスに組分けられたことに対し、落胆する者も多いが、他クラスの担任からしてみれば、アンチックのクラスに入れることほど幸運なことはない、との見解である。
 アンチックは人の隠れた才能を見抜くのが非常に得意だ。かつてアンチックはルニ・トワゾでガーネットと同学年で同クラスであったが、当時初心者だったガーネットをいち早く見出していたのも、また彼だった。
 余談だが、彼はクラス担任の教師たちの中で唯一の既婚者である。

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